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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十九話 リムルル、狐を見るのことその五

 一行はやがて大路に出た。そこから宮城にも迎える。都において最も大事な路である。そこにおいても巡回を行おうというのだ。
 その中でだった。馬超が前を見て言った。
「うっ、あの連中かよ」
「ああ、あの車は」
「司馬家のものなのだ」
 許緒も張飛も前から大路を進む馬車を見て言った。三人の顔は自然に顰められた。
 あちらの世界の言葉で西洋風に数等の馬に惹かれ洒落た箱型になっているその馬車こそ司馬家のものだ。その馬車を見てだった。
「京観なんて作る奴等だからな」
「幾ら何でもやり過ぎだよね」
「鈴々はあの連中は嫌いなのだ」
 やはりだ。あの山賊達のことから話す彼等だった。
「何か引き返したくなったけれどな」
「それでも。これが今の仕事だからね」
「仕方ないのだ」
 彼女達は嫌々ながら先に進むことにした。そこにだ。
 四人のところにだ。ふとリムルルが来たのだった。そのうえでだった。
「ああ、巡回してるんだ」
「うむ、そうだ」
 その通りだとだ。関羽は彼女に答えた。
「その通りだが」
「そう。だからここにいるのね」
「そうだが。しかし」
「しかしって?」
「あまりいい顔してないね」
 関羽達四人の顔を見ての言葉だった。
「やっぱりそれって」
「そうだ。あの馬車だ」
 関羽は一行から見て対抗線に来るその馬車を見てリムルルに話した。
「あの馬車こそは」
「あれね。司馬家のよね」
「そうだ。こう言うのは何だが」
 関羽は張飛達よりは感情を抑えていた。しかしそれでも言うのだった。
「司馬家の姉妹は私も」
「好きになれないのね」
「どうしてもだ」
 まさにそうだというのだ。
「個人的な感情だが」
「まあ私もだけれどね」
 リムルルはここで顔を曇らせた。
「何かいけ好かない感じよね」
「いけ好かないんじゃなくてな」
「嫌な感じがするよね」
「その通りなのだ」
 馬超に許緒、張飛がまた言う。
「どす黒いっていうか?そんなのだよな」
「そうそう。何処か不気味なのよ」
「一緒にいたくないのだ」
「どす黒い?」
 リムルルが反応を見せたのはそこだった。
「どす黒いっていうの?」
「ああ、そんな感じしないか?」
「リムルルはどうなの?そこは」
「そう感じるのだ?」
「そうね。ちょっと待ってね」
 リムルルはここで司馬家の馬車を見た。その馬車をだ。
 そしてだ。まずは関羽に確認を取った。
「あの馬車には三姉妹全員いるのかな」
「いや、それはない」
 関羽はそれは否定した。
「司馬家は権門だ。姉妹一人一人にだ」
「馬車があるのね」
「それが普通だ。そしてだ」
「そして?」
「あの護衛の兵の多さから見て」
 関羽が次に見たのはこのことだった。兵の数だ。
「司馬尉殿だな」
「そういえば周りの兵隊さんの数多いよね」
「それを見るとだ」
 司馬尉だというのだ。三姉妹の長女だ。
「やはりそうだと思う」
「司馬尉さん。その噂の」
「そうだ。その司馬尉殿だ」
「成程ね。あの馬車の中にいるのが」
「どうだよ。それで」
「どす黒いものを感じるのだ?リムルルも」
 馬超と張飛はこうリムルルに尋ねた。
 
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