夢幻水滸伝
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第百九十一話 海の中の星達その一
第百九十一話 海の中の星達
バイテはタヒチの港に戻るとすぐにその足でタヒチの酋長達のところを巡ってじぶんがタヒチを統一して治めたいと言おうと思っていた、だが。
湊に戻るとその酋長達が彼を迎えた、そして彼の前にタヒチで最上の挨拶相手を敬うそれをして言ってきた。
「お待ちしていました」
「貴方のことはもう聞いています」
「我々は貴方に従います」
「是非この島を治めて下さい」
「そうして下さい」
「一つにしたうえで」
「お願いします」
「拙者からそう言いに行くつもりやったが」
それでもとだ、バイテは自分の前にいる彼等に驚いた顔で応えた。
「そう言ってくれるんやな」
「我等も星の方々のことは聞いています」
「神に等しいお力でこの世界の危機を救って下さる」
「異世界から来たそうした方々であると」
「そうなんか、しかしな」
バイテは酋長達に述べた。
「自分等はそれでええか」
「貴方がこの島の主となられる」
「そのことを認めるか」
「そうだというのですか」
「タヒチのモン皆が」
酋長達にこのことを問うた。
「それでここに来てくれたと思うけど」
「はい、星の方ならです」
「我等も異存はありません」
「むしろこのタヒチに出て頂いてよかったです」
「そう考えています」
「そうか、ほなタヒチは今ここに統一されて」
そしてとだ、バイテはここで高らかに言った。
「拙者が治めるで」
「その様にお願いします」
「これより」
「是非共」
「そうさせてもらうな」
酋長達にも応えた、そしてだった。
バイテは早速タヒチの統治に入った、官邸も定めそこに住んで治める様にした。そうしてこの世界のことを詳しく学びはじめもした。
バイテがこの世界に来たのとほぼ同じ頃マタリ=ハウオファもトンガに出て来ていた、寝ている時も自分の国であるこの国に。
最初にいたのは廟の中だった、南国特有の木造でかつ質素ながらそれでいて贅沢なものも感じさせる廟であった。
その廟の中にあって彼は傍にいた犬人のトンガの礼装であるツペヌを着た男に問うた。
「ここは」
「はい、この島の歴代の守護神である王神を祀っている廟でして」
「王神?」
「はい、今はトゥポウ六世が当代の王神です」
「トゥポウ六世?国王陛下か」
ハウオファはその名を聞いて目を瞬かせて言った。
「我がトンガ王国の」
「左様」
ここで廟から声がしてきた。
「この世界の余は王ではなくだ」
「陛下」
すぐにだ、ハウオファは廟の声の前、それがする方に膝をついて応えた。
「まさかここでお声が聴けるとは」
「いや、この世界の余はそなたの世界の余とは違う」
「そうなのですか」
「そなたの世界の余は王であるが」
「こちらの世界の陛下は王神ですか」
「トンガを守護するな」
「そうですか、それでこの世界とは」
ハウオファは王神に問うた。
「一体」
「そのことだが」
王神はハウオファに自分のことだけでなくこの世界のことも詳しく話した、そしてその話の後で彼に告げた。
「そしてそなたはだ」
「星の者として」
「この世界の危機を救うのだ」
こう告げるのだった。
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