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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十八話 孫策、賭けを考えるのことその二

「またああいうことするの」
「するな、間違いなく」
 楽進もそう見ていたのだった。
「これからも」
「ほな。放っておけんで」
「何とかしないといけないの」
「そうだ。さもないとより多くの血が流れる」
 司馬尉についての話が続く。
「止めなければならないが」
「ほんまやな。あそこまでとんでもない人やったとはな」
「沙和も考えなかったの」
「あんなん誰も考えんて」
「確かに。恐ろしいにも程があるの」
 こう話してだった。三人は暗い顔で話してだ。
 茶を飲む。だがその茶も。
「この茶は」
「味せんな」
「全然なの」 
 今はだ。茶の味を感じなかった。
「この店の茶は美味い筈だが」
「それでも何杯でも飲めるのにな」
「今は全然なの」
 そうなのだった。今はだ。
「こんなにまずい茶やったか?」
「何か今日は特別酷いの」
「気持ちのせいだな」
 そのせいだとだ。楽進は述べた。
「今の私達はな」
「そやな。うち等のせいや」
「それ以外に有り得ないの」
 こうした話をしてだった。三人は司馬尉の恐ろしさを実感していた。
 袁紹の屋敷でもそれは同じだった。
 張郃がだ。その顔を強張らせて高覧に問い返して。
「京観!?あんなものを」
「そうよ。水華達が伝えてきたわ」
「築いたというのね」
「信じられない話だけれどね」
「あんなものを築いても何の意味もないわよ」
 張郃もこう言うことだった。
「捕らえた山賊はどうしようもない奴以外は」
「そうよね。精々棒で打ってから」
「兵にするなり村に戻すなり」
「牢に入れたりね」
 彼女達にしてもこうした処罰だけだった。
「それだけで済むことなのに」
「それでも司馬尉は」
「皆殺しにしたのね」
「そしてあれよ」
 京観を築いたというのだ。
「私も信じられないわ」
「私達は多くの異民族を征伐してきたけれど」
 張郃は自分達のことから話した。
「それでも。匈奴達は組み入れるだけで」
「そんなことは一度もしなかったわ」
「麗羽様も私達もそうしたことは嫌いだったから」
「想像もしなかったわよ」
「それでも司馬尉は」
 張郃もだった。司馬尉については。
「それをあえてしたのね」
「花麗、貴女どう思う?」
 高覧は張郃の真名を出して問うた。
「司馬尉のことは」
「貴女と同じよ」
 こう返す張郃だった。
「花美とね」
「そうなのね」
「あの娘、このまま放っておくと」
「恐ろしいことになるわね」
「麗羽様にお話して」
「そうして決めないといけないわね」
 彼女達もだ。司馬尉には明らかにこれまで以上の警戒を抱いた。それでだった。
 あらためてだ。張郃は言った。
「取り除くこともね」
「考えないといけないというのね」
「あの娘は危険よ」
 それ故にだというのだ。
 
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