ドリトル先生と不思議な蛸
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第四幕その十
「本当にね、鮫も基本夜行性だしね」
「実は鮫ってお昼はあまり行動しないんだったね」
「いつも泳いでいるお魚だけれど」
「夜の方が動きは活発で」
「その時間に襲って来る方が多いんだったね」
「そう、お昼は襲って来なくても」
その時間はというのです。
「夜になるとね」
「襲って来る」
「それが鮫だね」
「だからだね」
「夜の海は鮫のことでも危ないから」
「入ったらいけないね」
「泳いだりしたら」
「命も危ないかも知れないよ」
そこまで危険だというのです。
「だから自衛隊も夜は水中での訓練は行わないよ」
「あまりにも危険だから」
「それでよね」
「確かに海の中での訓練も大事だけれど」
「海上自衛隊は特に」
「けれど見えない夜の中でのそれは危険だから」
「しないのね」
「まずね、本当に危ないから」
それでというのです。
「しないよ」
「訓練で命を落としたら何にもならないからね」
「生きる為の訓練だから」
「命を捨ててもいい訓練なんてね」
「今はそうそうないね」
「だからだよ」
それでというのです。
「夜にお水の中に入る訓練はそうはないよ」
「海の中でも」
「そうだよね」
「流石にね」
「それはないね」
「僕の知る限りではね、そこまで夜の海は危ないから」
自衛隊でも訓練をしないまでにです。
「迂闊に入ったら駄目だよ」
「見ているだけだね」
「あくまで」
「まして先生泳げないし」
「それにお酒もかなり飲んでるし」
「絶対に入ったら駄目だね」
「うん、何があってもしないよ」
こう言うのでした。
「僕はね」
「それがいいね」
「そんなことしたら折角の浴衣が濡れるし」
「したらいけないね」
「僕達もしないから」
「そういうことでね、じゃあ帰ろうね」
ホテルにというのです。
「そうしようね」
「それでお風呂に入って」
「すっきりするんだね」
「それで寝るんだね」
「そうするのね」
「そうするよ」
こう言ってでした、先生はホテルに帰ってまたお風呂に入ってすっきりしました。夜の海までお散歩をしてお酒が少し抜けたところで、です。
お風呂にも入ってお酒がかなり抜けて気分よく寝られる様になって先生は朝早く起きると日の出と共にです。
調査をはじめました、今日は前回とは別の浅瀬で蛸を探してその場所の生態系も調査します。ですが赤い蛸はいてもです。
「やっぱりね」
「赤い蛸ばかりでね」
「赤くない蛸になると」
「いないね」
「何処にもね」
「そうだね、ここも自然は豊かだけれど」
それでもというのです。
「その蛸はいないね」
「何かいないね」
「こうなったら蛸壺出す?」
「蛸壺入れたら蛸はそこに入るし」
「それで探す?」
「そうする?」
「そうだね」
少し考えて言う先生でした。
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