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ドリトル先生と不思議な蛸

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第四幕その九

「是非ね」
「それじゃあね」
「今から飲んで食べて」
「本格的に楽しもう」
「そうしましょう」
「うん、皆でそうしよう」
 こう言ってでした、先生はグラスの白ワインを飲みつつ皆と楽しくお話をしました。そしてお料理をあらかた食べてお酒もボトル二本程空けてです。
 先生にです、動物の皆はこんなことを言いました。
「ちょっとお外に出てみる?」
「それで夜の海を見ない?」
「そうしたらどうかな」
「今からね」
「そうだね、いいね」
 先生もお酒の残りを飲み干してから皆に答えました。
「それじゃあお風呂に入る前にね」
「それまでにね」
「ちょっとお外歩こう」
「そうしよう」
「これからね」
 皆でお話してです、先生は皆と一緒にホテルを出て鳥羽の海辺に出ました、夜の灯りが見えるその中で、です。
 海辺に出て海を見ます、海は暗がりの中で何も見えず波音だけが聞こえます。ですが先生は微笑んで言いました。
「こうした海もいいね」
「うん、独特の風情があるよね」
 トートーが答えました。
「夜の海も」
「暗闇の中に波音が聞こえて」
 ポリネシアはその波音を音楽と感じています。
「周りに夜の街の灯りも見えて」
「これもいいものだね」
「お昼の海もいいけれど」
 チープサイドの家族も波音を聞いています。
「夜の海も風情があって」
「いいね」
「私達が今住んでいる神戸も海の街だけれど」
 ダブダブも言います。
「鳥羽はまた違うわね」
「同じ海の街でも違うんだよね」
 ホワイティは神戸と鳥羽を比較して言いました。
「やっぱり」
「同じ日本の海の街でも」
 チーチーは周りを見回しています、興味深そうに。
「場所によって違うね」
「夜の中でも鳥羽の街の形まで見えてね」
「夜の灯りでそれがわかってね」
 オシツオサレツも見ています、その二つの頭で。
「灯りの中にある生活も感じられて」
「鳥羽の夜の中にいるんだって思うね」
「出て見てよかったね」
 老馬も先生に言いました。
「そうして」
「そうだね、皆でここに来てよかったよ」 
 ジップも言います。
「独特の風情があって」
「詩的っていうのかな」 
 ガブガブは珍しく食べること以外に興味を出しています。
「こうした景色って」
「うん、詩的だね」
 先生もガブガブに答えました。
「確かに」
「そうだよね」
「ガブガブの言う通りだね」
「ここは随分詩的よ」
「独特の風情があって」
「とてもいい感じだよ」
「うん、ただ夜の海はね」
 波音だけが聞こえるその暗闇の場所はといいますと。
「絶対に入ったら駄目だよ」
「海はただでさえ危ないのにね」
「全く見えないなら余計にだね」
「夜行性の危険な生きものも多いし」
「そう考えるとね」
「夜の海には入ったらいけないよ」
 そうだというのです。 
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