恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第九十七話 司馬尉、京観を造るのことその八
「デートね」
「あれっ、わかってたんですか」
「そりゃわかるわよ」
楽しげに笑ってだ。ジェニーは程昱にも言葉を返した。
「郭嘉がそんな極端なことをね」
「凛ちゃん純情ですから」
「そうよね。想像は凄いけれど」
「凄く奥手なんですよ」
「そ、そんなことは」
郭嘉は顔を真っ赤にさせてだ。何とか否定しようとする。
「私もそうした経験は」
「全然ありません」
また言う程昱だった。
「もう接吻も袁術さんとだけの」
「完全になのね」
「乙女です」
郭嘉の本質をだ。見事に指摘していた。
「純情ですから、とても」
「わ、私も一人や二人の経験は」
「華琳様もですね。あえてです」
「袁術ちゃんに譲ってるふしがあるのね」
「何しろ尋常じゃない相性のよさですから」
とにかくだ。運命的なまでの相性のいい二人なのだ。
「もうどうしようもないので」
「そうね。だから今もなのね」
「これから二人でデートなんです」
「仕方ないわね。それじゃあね」
言いながら。ジェニーは。
何処からかあるものを出してだ。それを郭嘉に投げ渡した。
「これだけ持って行って」
「これは?」
「御土産よ」
それを投げ渡してからだ。にこりと笑って言うのである。
「袁術ちゃんと一緒に楽しんできて」
「お茶でしょうか」
「ジュースよ」
それだというのだ。
「極悪ノニジュース。それをあげるわ」
「ノニジュースですか」
「凄くまずいから」
そのまずいものをだ。あえて渡すのである。
「印象に残るまずさよ」
「あの、まずいものをあえて手渡される理由は」
「度胸試しよ。っていうかね」
「というか?」
「こっちの世界じゃそうしてね」
まずいものを口にしてというのだ。
「楽しむ遊びもあるのよ」
「またおかしな遊びですね」
「あたしの国じゃね」
そのだ。イギリスではというのだ。
「もうそんなのしかないけれど」
「イギリスではですか」
「まずいもののしかないわ」
彼女自身も言うことだった。それは。
「それこそね」
「あまりイギリスという国にはな」
「行きたくないな」
それを聞いてだ。夏侯姉妹はだ。
顔を顰めさせてだ。こう言うのだった。
「まずいものしかないとなると」
「遠慮したい」
「正直あたしも驚いたから」
ジェニーはさらに話す。
「他の国の食べ物の美味しさにね」
「それでこのジュースとやらは」
郭嘉はまたジュースのことを尋ねた。
「美羽様と共にですか」
「そうよ。あえて飲んで楽しんで」
「ううむ、本当にわからない趣味ですね」
「そのうちわかるわ。美味しいものを食べることは楽しみだけれど」
そしてだ。話を裏返しにしてだった。
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