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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十七話 司馬尉、京観を造るのことその二

「あの白装束の者達ですが」
「そうだ。あの連中だ」
「官渡でも出て来たのだ」
 夏侯姉妹はかつてのことをここで言った。
「華琳様と麗羽殿を狙ってだ」
「急に出て来たのだ」
「あの者達がいて何故でしょうか」
 郭嘉がここで言うこととは。
「司馬尉殿は狙われなかったのでしょうか」
「あの者達と宦官も関係があったようですが」
 程昱が話す。
「それなら司馬尉さんのところにもあの者達が向かっていた筈です」
「しかしそれはありませんでした」
「向かったのは普通の兵達です」
「これも思えば」
「怪しいな」
「それもまた、か」
 夏侯姉妹は軍師二人の話を聞いて述べた。
「白装束の者達に狙われなかったのも」
「そのことも」
「このことは仮定に過ぎません」
 こう前置きしてからだ。程昱は二人に話した。
「ですが。彼等と司馬尉さんは」
「つながっていてもおかしくはない」
「そうだな」
「雰囲気も似た感じですし」
 程昱はこのことも指摘する。
「とにかくあの人は警戒し過ぎてもし過ぎることはないです」
「確かに黒ではありません」
 郭嘉がまた話す。
「しかしそれはです」
「見えていないだけか」
「その黒が」
「はい、そうしたものですから」
 怪しいというのだ。彼女達もそう見ていることだった。
 そしてその彼女達をだ。呼ぶ声がした。
「ああ、そっちにいたのか」
「むっ、ガルフォードではないか」
「どうしたのだ?」
「いやな、町に出ないか?」
 こうだ。彼は四人を町に誘うのである。
「今からな」
「町にか」
「そしてそこでか」
「ああ。買い物しないか?ちょっと見て欲しいものがあるんだよ」
「見て欲しいもの」
「といいますと」
 軍師二人も彼のその言葉に反応を見せる。
「お酒でしょうか」
「それとも食べ物ですか?」
「ああ、パピィのな」
「ワン」
 ここでそのパピィが鳴く。ここでもガルフォードと一緒なのだ。
「首輪を買おうと思ってな」
「それで我等にか」
「その首輪を選んで欲しいのか」
「パピィはレディーだからな」
 それでだというのだ。
「同じレディーに選んで欲しくてな」
「しかし私はだ」
「私もだ」
 夏侯姉妹がそれぞれガルフォードに応えて言う。
「そうしたことにはだ」
「あまり力になれないが」
「そうか?そうは思えないけれどな」
「我々は生粋の武人だぞ」
「その我々にそうした女の子らしいものを選んでくれと言われてもだ」
「レディーだよ、レディー」
 ガルフォードはこう彼等に話す。
「女の子とはまた違うけれどな」
「いや、それでもだ」
「女の子らしいというとだ」
 それでもだとだ。また話す二人だった。
 
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