八条学園騒動記
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第六百三話 途中のカレーその十二
「ですから」
「主食はパンですね」
「そしてジャガイモです」
「あとオートミールですね」
「つまり麦と馬鈴薯です」
エウロパの主食はというのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「カレーライスもです」
「お野菜のお料理ですね」
「ルーならスープで」
「その扱いですね」
「シチューともです」
そちらの料理にもというのだ。
「勘がられます」
「そうですか、食文化の違いですね」
「まさに、そして」
店の人はトムにさらに話した。
「あちらのカレーも美味しいです」
「連合のカレーと同じで」
「美味しいことはです」
それはというのだ。
「非常にです」
「美味しいですか」
「はい」
トムに笑顔で答えた。
「そうです、連合のカレーとはまた違った味で」
「そうですか」
「よかったら召し上がられますか」
「いや、それは無理です」
それはとだ、トムは真顔で答えた。
「流石に」
「エウロパにはですか」
「連合からは行けないですから」
「国交がないので」
「ですから。それにエウロパに行くなんて」
トムは店の人に笑って返した。
「あんな嫌な国に行くとか」
「ないですか」
「絶対にですよ」
連合の者ならというのだ。
「それは」
「そこまで言われるなら」
「それならですか」
「私も言いません、ですが」
それでもとだ、店の人はトムにさらに話した。その顔はどうにも浮かないというか残念な感じであった。
「エウロパでも彼を食べている」
「そのことはですか」
「はい、覚えておいて下さい」
「じゃあそのことは」
「そうして下さい」
こう言ってそうしてだった。
トムは二人と共にカレーをもう一杯食べてだった。
そのうえで店を後にして映画を上映しているその場所に向かった、そうしてまたマウリアの推理映画の話をした。
途中のカレー 完
2021・1・9
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