レーヴァティン
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第百九十三話 武蔵入りその八
「他の産業もな」
「盛んにさせていきますね」
「これからもな」
「それでは」
「それと茶や陶器もな」
「増やしてですね」
「売る、この二つもこの浮島で売ってな」
そしてというのだ。
「さらにだ」
「西の浮島にもですね」
「売る」
「そうして利益を得る」
「そうする、売れるものは売る」
「お茶も売れるっちゃ」
愛実も言った。
「そして陶器もっちゃ」
「そうだな、だからだ」
「より作ってっちゃな」
「そして売る」
「そうするっちゃな」
「それが利益になるからな、しかし」
英雄はこうも言った。
「粗悪品はな」
「作らせないっちゃな」
「折角買って質が悪いとな」
「次からは買わないっちゃ」
「他に売る者がいなくともだ」
「それはその時だけっちゃよ」
愛実はぴしゃりと言った。
「売れるのは」
「そうだ、他の売り手は必ず出る」
「そうしてその売り手が質のいいものを売れば」
「そちらに行く」
買う者はというのだ、英雄はこの商いのことも話した。このことを実によく頭の中に入れているから言えることだ。
「そうなる」
「だからっちゃな」
「質のいいものを作らせてな」
「売るっちゃな」
「質の悪いものはそれなりの値段にしてな」
そうしてというのだ。
「売る」
「そうするっちゃな」
「しかし質のいいものはな」
「高値を付けてっちゃ」
「そうして売る」
「そうっちゃな」
「そうすればいい」
こう言うのだった。
「質の悪いものが出来る時もあるが」
「質がよくても悪くても同じ値段ならっちゃ」
愛実はこう言った。
「もうそれならっちゃ」
「大抵の者は質の悪いものを作って」
「売る様になる」
「共産主義であったことっちゃ」
「共産主義国家は勤労意欲を考慮していなかった」
英雄は共産主義のその欠点も指摘した。
「全くな」
「そうっちゃ」
「職場にいて作業をしていればだ」
ただそれだけでだったのだ。
「給料を貰えてだ」
「生きていけたっちゃ」
「だからだ」
「いいものは出来ないでっちゃ」
「粗悪品が多くなりだ」
「その分国力は落ちたっちゃ」
「人間はただ生きられるならだ」
給料を貰えるならというのだ。
「もうそれでだ」
「生きられるからっちゃ」
「質の悪いものばかりになった、だが」
「しっかりとっちゃな」
「働く様にだ」
「いいものはそれだけ高くしてっちゃな」
「売れれば儲ける様にする」
こう言うのだった。
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