八条学園騒動記
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第六百二話 梅干しの魔力その十一
「誰も思ってくれないし」
「実は国力は高いけれどな」
「そうそうカナダってね」
テンボとジャッキーも言う。
「連合でも上から数えた方が早いな」
「国力二十位までには入ってる?」
「そうだな」
「というかあたし達の国より大きい?」
「ケニアよりもな」
「フィリピンよりもね」
テンボもジャッキーもそれぞれの国の名前をここで出した、二人共それぞれの国への愛国心も備えている。
「むしろね」
「そうだな」
「フィリピンもケニアもそれなりにいいけれど」
「カナダはな」
「星系多くて産業もあって」
「人口もそれなりでな」
「だから個性がなくて」
目立たないことを個性と思わずにというのだ。
「それで自己主張しなくて文化も注目されないから」
「だからか」
「目立たないっていうのね」
「主要国とも思われない」
「連合の中で」
「フィリピンって旧アセアン諸国じゃない」
ジャッキーの国はというのだ。
「今でも連合で発言力を持っている」
「まあそれはね」
ジャッキーも否定しなかった。
「そうね」
「ケニアだってね」
今度はテンボの国の話をした。
「旧アフリカ諸国ではエース格じゃない」
「それはな」
やはりテンボも否定しない。
「あるな」
「そう、けれどカナダはね」
「連合建国当初からいるだろ」
テンボははっきりと言った。
「そこで発言の中心だった太平洋諸国だったな」
「そのうちの一国だったな」
「その時から存在感なかったじゃない」
「そうだったか」
「言うのは旧アセアン諸国と」
それにというのだ。
「オーストラリアに」
「あの連中か?」
「日本とアメリカ、中国で」
「カナダはか」
「この時からいるだけで。ニュージーランドなんていつもオーストラリアと組んでいて」
そしてというのだ。
「それなりに存在感あったけれど」
「カナダはか」
「そこでもね」
「目立たなかったか」
「もう発言もね」
カナダのそれもというのだ。
「その時からね」
「目立たない」
「そうだったのね」
「実際ね」
ここでトムは二人にこう問うた。
「カナダからはじまった推理小説のシリーズは」
「あったか?」
「そんなのあったの?」
二人もこう返した。
「俺達は推理小説や漫画はどんどん読んでるぞ」
「アニメや映画も観てるわ」
二人共研究熱心ではある。
「そして古今東西の探偵を知ってるわ」
「シャイロック=ホームランだけじゃないぞ」
シャーロック=ホームズである。
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