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八条学園騒動記

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第六百二話 梅干しの魔力その四

「食べることもね」
「ないのね」
「そうなんだ」
「そういえばそうだな」
 テンボも言ってきた。
「梅干しは日本以外では殆ど食べられないな」
「そうね、梅のお花はあっても」
 それでもとだ、ジャッキーはテンボの言葉にも頷いた。
「それでもね」
「日本以外だとな」
「実は食べないわね」
「梅干しにしてもな」
「そうよね」
「日本料理はよく食べられていても」
 それでもというのだ。
「梅干しはね」
「そうだな」
「お刺身とか天麩羅とかお寿司とか食べて」
「お握りもな」
「けれど梅干しは」
「色々使われて食われているのにな」
 日本でそうであってもというのだ。
「けれどな」
「食べないわね、他の国だと」
「どうしてだろうな」
「お素麺にも使うのにね」
「ああ、使うな」
 素麺は連合全体で日本料理の中でもメジャーなものとして食べられる。夏の暑い時の人気の麺類である。
「梅干しの実を磨り潰してな」
「おつゆの中に入れてね」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「使うな」
「梅の味がおつゆに合ってね」
「素麺の味をよくしてな」
「あれが滅茶苦茶美味しいのよね」
「そうだがな」
 それがというのだ。
「他の国だとな」
「使わないのよね」
「そうだな」
「おつゆと」
 素麺つゆと、というのだ。
「後は生姜とかだな」
「そうね、唐辛子も使うけれど」
 それもというのだ。
「梅干しはね」
「本当に使わないな」
「そして食べないわね」
「それでカナダでもね、日本料理はよく食べても」
 それでもというのだ。
「梅干しはだよ」
「日本だけでよく食べられているか」
 テンボは腕を組んで言った。
「そうしたものか」
「そうだね、しかしね」
「しかし?」
「いや、これはいい食べものだから」
 だからだとだ、トムは言った。
「宣伝したらね」
「人気が出るか」
「本当に日本料理の中ではかなり重要な位置にあって」
 そしてというのだ。
「調味料にもなるから」
「だからか」
「宣伝したら」
 それならというのだ。
「連合中で人気が出るよ」
「そうなるか」
「そう思うよ」
 その梅干のお握りを食べながら言った。
「お漬けもの自体が注目されていないけれど」
「お漬けものはあるだけ?」
 ジャッキーは少し考えてから言った。 
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