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おっちょこちょいのかよちゃん

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128 死守したその後

 
前書き
《前回》
 異世界の最上位の道具・杯の所有者である安藤りえと再会したかよ子。りえはクリスマス・イブの日に赤軍の一員である丸岡修と日高敏彦と交戦した事を語り出す。りえは赤軍相手に友達と共闘するも苦戦していたのだった!! 

 
 かよ子は自分が名古屋で戦っていた時と同じ頃にりえも赤軍と戦っていた事に改めて戦慄を覚えた。
(りえちゃんにそんな事があったなんて・・・!!)
 それに杯、護符、そしてかよ子が持つ杖のある場所が既に特定されてしまった以上、自分達の命が危うくなるという事もかよ子には怖くてたまらなかった。

 りえ達が赤軍と戦った直後、フローレンスが現れた。
「フ、フローレンスさんっ!?」
 三人がなぜ彼女の名を知っているのは、鈴音とみゆきは異世界の道具であるブーメランと錫杖を彼女から貰っていたからである。
「三人共、大変な戦いでしたわね。表に出られませんで申し訳ございませんでした。しかし、あの赤軍の人間が貴女達に有利に追い詰めます事ができましたのは清水市に住みます高校生男子の異能の能力(ちから)を乗っ取りまして、それを機械としました物を使用していましたからなのです」
「そう言えば先月そんな機械を持っている人に会って襲われた事があるわ」
「東アジア反日武装戦線の事ですね。その時も北海道から訪れました人によって一緒に戦っていましたね」
「知ってたの?」
 鈴音は驚いた。
「はい。貴女達が見えない所で密かにその機械を破壊させて頂きました。そして先程の丸岡修と日高敏彦の機械も私が気付かれませんうちに壊させて貰いました」
「そうだったの・・・」
「はい、すぐにお助けします事ができずに申し訳ございません。私は敵にあまり姿を見られますと厄介なことになりますので」
「でも、機械を壊してくれただけでも助かったわ。ありがとう」
「はい。しかし、今、別の地でも同じ戦いが繰り広げられていますでしょう」
「も、もしかしてかよちゃんの持つ杖を狙って清水へっ!?」
「いいえ、彼女らの狙いは護符です。その持ち主の居所を知ります為に各地へ戦争の世界の人間を派遣させていましたのです」
「その護符の場所って・・・」
「名古屋です。私と同じ世界の者・イマヌエルに今、行って貰っています。守り切れます事を祈りますのみです。それでは、失礼致します」
 フローレンスは透明になるように消えた。
「護符、名古屋・・・」
 りえは夏休みに会ったかよ子やある高校生男子の事を思い出した。そしてその高校生男子の従姉であり、そして北海道から助けに来た煮雪ありという女性の妹でもある。その人物が名古屋にいて危機にさらされている。いずれ、杖を持つかよ子やその護符を持つ女性と三人で集まりたいと思った。だが、その護符の所持者が無事である事を祈るしかないのだった・・・。

「りえちゃん、フローレンスさんとも知り合いだったんだ!驚いたよ!」
 かよ子は感想を言った。
「うん、かよちゃんも会った事があるの?」
「うん、一度ね。お母さんも子どもの頃会った事があるんだよ」
「奇遇ね。それにしても赤軍が使っていたという機械なんですが・・・」
 りえの母は話題を切り替えた。
「ああ、それは、私の甥の能力(ちから)を機械化したものですよ」
 奈美子が答えた。
「はい、俺が通っている高校に西川純に山田義昭っていう赤軍の人間が侵入してきた時に俺の異能の能力(ちから)をいつの間にか複製して機械化したのです」
 三河口が詳しく説明した。
「俺には見聞、武装、そして威圧、三つの能力(ちから)をすべて持っています。奴等はおそらく機械を量産しているでしょう。そうなるともっととんでもない事になります」
「確かに三河口のお兄ちゃんみたいな人が増えるとこちらも劣勢になっちゃうよね」
「そうだ、その機械はそのフローレンスやイマヌエルという人しか壊せないみたいですが、その機械を壊す方法は何か聞いていないかしら?」
 まき子はりえに質問する。
「いいえ、聞かなかったです」
「でも、向こうの世界に行った時に解るかもしれませんね」
「そうですね。フローレンス達にも聞いておきましょう」
 そしてりえ達はお(いとま)する時間が来た。かよ子はあの事を言おうとする。
「それじゃ、山田さん、羽柴さん、今日はどうもありがとうございました。また宜しくお願い致します」
「はい、ではまた」
「あ、あの、りえちゃん・・・!!」
 かよ子はりえを呼び止めた。
「えっ?」
「実はね、大野君が四月から転校することになってね、それで杉山君が喧嘩しちゃったんだ・・・」
「ええっ!?」
「それで、お願いがあるんだけど、明日、杉山君の家に一緒に行ってくれるかな?」
「うん、いいわよ」
 りえは承諾した。
「ありがとう」
 りえとその母は山田家を後にした。隣のおばさんが車でりえ達を送って行った。
「それでは俺達も失礼しますよ」
「うん、じゃあね」
 三河口と利治も家を出た。

 りえは先代の護符の所有者であるおばさんの車の中で夏休みに会った杉山の事を考える。教会のピアノを弾いていたら皆から幽霊と間違われ、ピアノを勝手に使ったと杉山に言いがかりを付けられて喧嘩し、自分を乙女じゃないとけなされるわ、挙句、挑発されて杯を使って喧嘩までした。だが、りえはそれでもあの杉山の事が気になっていた。東京に帰ってからも・・・。
(たしか杉山君の友達って、大野君って言ったっけ?転校するからって喧嘩するなんて・・・)
 そしてりえは考えた。
(やっぱり、杉山君、案外臆病じゃない・・・)
 りえはそう考えた。親友がいなくなって寂しくなるのが嫌で喧嘩したのだと。
(杉山君・・・。あんた、それでいいのっ?これから大変な事が待っているってのにっ・・・!!)
 りえは杉山との再会に緊張が同時に走った。
「りえ、着いたわよ」
「え?うん、ありがとうございました・・・」
 りえはおばさんに礼をして車を降りた。
(かよちゃん達も大変ね・・・。藤木君がいなくなっただけじゃなく、杉山君と大野君が喧嘩するだなんて・・・)
 りえは祖母の家に入った。

 かよ子はりえにお願いしたとはいえ明日がお互いにとってどのような結果になるか想像もつかなかった。
(もし、杉山君とりえちゃんがまた喧嘩したらどうしよう・・・)
 かよ子は懸念した。 
 

 
後書き
次回は・・・
「杉山さとし、思いがけぬ再会」
 大野との喧嘩以来、杉山は自分に何ができるのか自問自答を繰り返していた。かよ子とりえはそんな杉山の元を訪れる事にするのだが、りえと杉山は夏休みの時のように睨みあってしまい・・・。 
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