八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百四話 クリスマスケーキその十三
「多いみたいだよ」
「そうなのね」
「川端康成の全集は総合図書館にもあるから」
「読めるのね」
「今話した三島由紀夫のもあるから」
もっと言えば志賀直哉も泉鏡花もある。
「読んでみたらいいよ」
「それじゃあね」
「それでそんな掘り出しものがあるから」
時折でもだ。
「古本屋もね」
「いいお店ね」
「商店街とかにずっとあって欲しいよ」
「安く買えるしね」
「いいお店だよ、だからね」
それでだ。
「ずっとあって欲しいよ、商店街もね」
これ自体もだ。
「ずっとあって欲しいよ」
「そうよね」
「国道沿いのお店もいいけれど」
車で来る人のことを考えてのお店なのは言うまでもない。
「けれどね」
「こうした商店街もよね」
「ずっとあって欲しいよ」
「そうよね」
「ずっとあってね」
そしてだ。
「そのうえでね」
「賑わっていて欲しいわね」
「そうよね」
「この商店街を歩いて」
僕はあらためて言った。
「それでね」
「そのうえでよね」
「イルミネーションの方に行こうね」
「そうね、いよいよね」
「今日の最後だよ」
最後の行く場所になる。
「そこに行こうね」
「ええ、今から」
「そこにもあるよ」
僕はここでツリーを見た、古本屋さんの近くのお店、クリーニング屋さんの前にあった。クリーニング屋さんはクリスマスとはこれといって関係がないお仕事だと思うけれおどお付き合いで飾っているのだろう。
「ツリーはね、けれどね」
「それでもよね」
「あそこにもあるから」
イルミネーションのところにもだ。
「それもとびきり大きな」
「素敵なのがあるのね」
「だからね」
それでだ。
「これからね」
「一緒に行こうね」
「それじゃあ。かなり酔ってるけれど」
「僕もだよ」
このことはだ。
「かなりだけれどね」
「大丈夫ね」
「うん、これ位ならね」
足は何とか大丈夫だ、二人共ふらふらしていない。
「安心していいよ」
「それじゃあね」
「行こうね、今から」
「それで最後よね」
「イルミネーションに行ったら」
それでだ。
「ツリーもイルミネーションもね」
「どっちも見て」
「最後まで楽しもう」
このクリスマスをだ、僕は香織さんに言った。そうして気持ちよく酔いながら二人でイルミネーションの方に向かった。
第三百四話 完
2020・10・15
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