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おぢばにおかえり

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第六十二話 二人乗りその二十一

「絶対に」
「そのことはどうしてなのよ」
「だって先輩っていうと小柄ですから」
 実にはっきりと言ってくれました。
「今も」
「それで言うのよね」
「はい、その先輩が大きいとか」
「子供の頃はそうだったの」
 むっとして答えました。
「本当に昔はね」
「小学生の時ですか」
「そう、その頃はね」
 もうかなり懐かしい思い出です。
「私背はね」
「高い方だったんですね」
「それがね」
 とても残念なことにです。
「何時しか成長が止まって」
「それで、ですか」
「この通りね」
「背が伸びなくなったんですね」
「そうなのよ」
「そういう人もいるんですね」
「だから阿波野君と比べたら」
 一七八はあるこの子とです。
「三十センチは違うのよ」
「そうなんですね」
「そう、この通りね」
「正確に言うと二十八センチですね」
「正確に言われるといい気持ちがしないわ」
 心の底からこう思いました。
「だから言わないでね」
「本当に気にされてるんですね」
「正直コンプレックスよ」
 このことは否定しないですし出来ないです。
「本当にね」
「悩まれてます?」
「正直諦めてるけれど」
 もう背は伸びないと思います、女の子で大学に入る様な年齢になると成長期は終わっているものなので。 
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