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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百三話 嘘を吐かないものその二

「目の前が真っ暗になったりとか」
「そこまで絶望するの」
「人間生きてるとそうなることもあると思うよ」
 幸い僕はない。
「これ本当にね」
「真っ暗になるの」
「うん、例えお昼に歩いていても」
 僕にこう話してくれた人もいる。
「目の前もっと言えば周り全部がね」
「真っ暗になるの」
「絶望のあまりね」
「そうなる時もあるのね」
「生きているとね、もうこうなったら」
 それこそだ。
「自殺もね」
「考えるわね」
「だってね、周り全部が真っ暗になるとか」
 そんな事態はだ。
「希望が一切なくならないとね」
「ならないわね」
「もうそうなったら」
 それこそた。
「自殺もね」
「考えるのね」
「そう、そしてね」
「実際になのね」
「自殺もね」
 これもだ。
「考えることもね」
「あるのね」
「そうだよ、けれどそんな時でも」
 それでもだ。
「自殺はしたら駄目だよ」
「何があっても」
「本当に自殺したら終わりだから」 
 もうそれでだ。
「絶望しきったまま死ぬってこんな辛いことはないし」
「ご家族もお友達もね」
「死んで誰も悲しまないか」
 このことはとだ、僕は言った。七面鳥を食べてそうしてワインを飲んでだ。
「そんな筈ないから」
「殆どの人がそうね」
「そう、殆どの人がね」  
 どんな人でもだ。
「そうした人がいるよ」
「そうよね」
「まあ中にはね」
 例外的にだ。
「害にしかならなくてね」
「生きる価値もないような」
「そうした人もいるけれど」
「それでもなのね」
「大抵の人はね」
 あくまでだ。
「死んだら悲しむ人がいるよ」
「だからよね」
「もうね」
 それこそだ。
「自殺なんかしたら駄目だよ」
「生きるべきね」
「何があっても」
「そうなのね」
「自殺することは最悪の選択だから」  
 死ぬことは絶対でもだ。
「だからだよ」
「そうね、というか義和って」
 香織さんはワインを一口飲んでから僕に言ってきた。
「自殺が嫌いなのね」
「絶対に駄目なことだって思ってるよ」
「そうよね、やっぱり」
「だからね、する人も苦しみや絶望や諦めの中で死ぬし」
 どうしようもないマイナスの中でだ。
「そしてね」
「残された人達も」
「凄く悲しい気持ちになって」
 そうしてだ。 
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