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もう一つの"木ノ葉崩し"

作者:ぬんすち
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第九話―雲の影

バッ!バッ!

「「行くぜ!」」

金角と銀角の二人は,各々の剣を振りかぶって同時に扉間に飛び掛かる。

「「くたばれ!!」」

(速いな……だが……)

サッ!

扉間は特に構えるそぶりも見せず,その場で片膝をついて地面に片手を当てる。

「そりゃ何のつもりだぁ!?」

ブン!ブン!

金銀兄弟が扉間に向かって剣を振り下ろすが……

「!?」

「どこ行きやがった!?」

そこに扉間の姿はすでになかった。金銀兄弟は,すぐそこにいたはずの敵の動きを,一切目で追うことができなかったことに混乱する。

「どこだ……!?アイツ,雷影のヤローより速いってのか!?」

状況を飲み込めずにいる銀角に,金角もまた落ち着きを失いつつ答える。

「そんなレベルの話じゃねえ……本当にその場で消えやがった!!」

二人が扉間の姿を探して辺りを見回そうとしたとき,突然背後から声が聞こえた。

「水遁・水断波!」

「!?」

「後ろだ!」

真一文字,慌てて振り返った兄弟に向かって鋭い水流のカッターが襲い掛かる。間一髪でジャンプしてかわした二人は,着地してすぐに十数メートル先にいる扉間に目を向ける。

「クソッ!いつの間にあんなとこ……」

「……!!?」



しかし彼らの視線の先には,またしても扉間の姿はなかった。



「は!?」

フッ!

「まさか……!」

「ウソだろ!?」

二人は背後に一瞬かすかな気配を感じ取り,またしても急いで後ろを振り向く。そこには,二人のすぐ目の前で刀を振りかぶる扉間がいた。

「何なんだ一体……!?」

「クソッ!!」

ズバッ!!

「ぐあっ!」

「くっ……!」

直前で扉間に気付いて飛び退いた二人は,何とか致命傷を免れるものの胸から腹にかけて大きな切り傷を負う。

(流石にこれでは仕留めきれんか……反応も速い。……ん?)

ジュウウゥゥ……

扉間が距離を空けて身構える金銀兄弟へ目を向けると,つい先ほど付けた切り傷の治癒が早くも始まっている。

(チャクラ量の多さは感じていたが,やはりかなり回復が早いな……。まるで兄者のような……いや,この力は……)

その圧倒的な回復力は,扉間にはどこか見覚えがあった。これほどの回復力を持つ人物と言えば,彼の知る限り兄・千手柱間を除いてはただ一人である。

(……まるで九尾の人柱力……。こやつらの中にかすかに感じられていた妙な気配を持つチャクラも,それが正体か……。)

一方の金銀兄弟も,扉間の人間離れした動きへの対処法を急いで探っている。

「クソッ,何だってんだアイツの能力!本当にどんな場所にでも一瞬で移動できんのか!?」

もはやお手上げの銀角に対して,少しは考えようとする金角である。

「いや……さっきアイツが二回目に現れた場所,最初にいた場所と同じだろ。移動できる場所には何かしら制限はあるはずだ。」

「それはさっきオレ達がそこにいたから……背後を取るために戻っただけじゃねえのかよ?」

「とにかく……何の制限も無しに雷影のヤローより速く動けるなんざ受け入れられるか!」

考え無しに暴れ回っていた昔に比べ,金角はかなり理性的にものを考えられるようになっていた。圧倒的な力で自分たちをねじ伏せて自由を奪い去った雷影……あれより上が居てたまるかと,彼は半ば自分に言い聞かせるように言う。

「あのヤローにはいつか復讐して目にもの見せてやんだ!今ここであんな奴なんかに負けてられるか!」

「そういやよ,金角……アイツさっき,消える前に地面に手当ててたよな?」

その何気ない言葉を聞いて,金角は何と無しに扉間の足元を見る。

「あん……?なんだありゃ……?」

そこには,変わった模様が小さく刻まれている。先ほど扉間が手を当てていた場所も,確かあの辺りだったと金角は思い返す。

「術式……?そうか……それだぜ,銀角……!」

そうしている間にも,扉間は次の策を練る。

(こやつらの回復力を考えると持久戦は不利……早めに片付けなければジリ貧になる。多少周りが荒れるが止むを得ん,アレを使うか……。)

そこまで考えた時,再び金銀兄弟が扉間に向かって突っ込む。

「今度こそくたばれ!!」

先ほどは二人ほぼ同時であったが,今回は銀角の方が少しばかり前に出ているようだ。

(来たか……。どうにかして奴らの不意を突きつつ接近するスキを作る……!)

バッ!

先行した銀角がまず扉間に向かって剣を振り上げる。やはり扉間は先ほどと同様に構えるそぶりを見せない。ただ一つ,異なるのは……

(やっぱり今度は地面に手を当てねえ!もう必要ねえからな!)

金角は自らの予想が的中したと確信し,銀角の後ろで走るのをやめてブレーキを掛ける。

「そのまま行け,銀角!!」

「おうよ金角!!」

(もう一人が来ん……まさか……!?)

気づいたものの時すでに遅く,ギリギリまで引き付けた銀角の攻撃をかわすためには,扉間はもう一方のマーキングへ飛ぶほかない。

フッ!

扉間が飛んだ先,そこは先ほど一回目に飛んで水断波を放った場所と同じである。そしてそこには……

「!!」

「よぉ,待ってたぜ?ここにも……同じ模様が刻んであるなぁ?」

目の前に剣を振りかぶる金角の姿があった。扉間の出現を完全に読んでいた彼は,銀角だけに攻撃に行かせて自らはこちらへ先回りしていたのだ。

(向こうのマーキングにも,もう一人がいる……!)

もはや扉間は攻撃をかわすすべを持たなかった。

「終わりだ!!」

ズバッ!!!

「へっ,やったか金角!」

「おうよ銀角!」

…………ボフン!!

金角に体を切り裂かれた扉間は,煙となって消えた。 
 

 
後書き
お読みいただきありがとうございます!

金銀兄弟,数的有利を活かして飛雷神を攻略!?そのとき扉間は……!? 
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