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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第九十六話 軍師達、狐を見るのことその三

「ですから余計にです」
「任せてもらうわ」
「こちらもね」
「まさか。私達が」
 司馬尉は妖しい笑みと共に話した。
「狐の力を得た人間とはね」
「誰も思わないわね」
「そんなことは」
「それがいいのだ」
 左慈もだ。それをよしとした。
「そうした意味でオロチと同じだからな」
「ああ、そうだ」
「その通りです」
 闇の中にだ。社とゲーニッツが出て来てだった。それぞれ言ってきた。
「俺達も人間だがな」
「心はオロチですから」
 そこがだ。司馬尉達と同じだというのだ。
「誰も俺達を怪しまなかったからな」
「それがよかったのです」
「身体さえ人間ならばです」
 どうかとだ。于吉は話す。
「誰も気付きませんよ」
「そうだな。身体さえ人ならばだ」
 左慈もそのことを言う。二人の顔は悠然とした笑みになっている。
 そしてその笑みでだ。彼等はさらに話すのだった。
「それでいいのだ」
「心には気付きません」
「決してな」
「その通りよ」
 司馬尉も二人に同じ笑みで返した。
「私の心は人が言う人のものではないのだから」
「はい、私達と同じですね」
「こちらの世界の住人のものだな」
「誰か言ったよな」
 社は楽しげに笑いながら話す。
「俺達のいる世界は魔界だってな」
「魔界ね。そうよね」
「確かにそうなるわね」
 司馬師と司馬昭も社のその言葉に乗って頷く。
「私達が目指す社会はそうしたものだし」
「一理あるわ」
「その通りよ。私達はね」
 どうなのかと。また話す司馬尉だった。
「この世は今は味気ない社会だけれど」
「はい、すぐにです」
「その魔界に変えてやろう」
 于吉と左慈がまた言う。そうした話をしてからだ。
 左慈は司馬尉にあらためて尋ねた。その尋ねたこととは。
「それでだ」
「何かしら」
「この戦いではどうした趣向を見せてくれるのだ?」
「趣向ね」
「そうだ。ただ勝つだけではないな」
「そんなことはしないわ」
 それはだ。司馬尉も怪しい笑みで笑って否定した。闇そのものの笑みで。
「決してね」
「ではどうするのだ?」
「見ていて。まずは勝つわ」
「そこからか」
「そしてそれからよ」
 怪しい笑みのままでだ。司馬尉はさらに話す。
「面白いものを見せてあげるわ」
「面白いものですか」
「そうよ。面白いものをよ」
 于吉にも語る。その笑みのままで。
「見せてあげるから楽しみにしていて」
「そうか。それではな」
「楽しみにさせてもらいます」
「そうして。ではね」
 左慈と于吉に応えてだった。司馬尉は。
 妹達にだ。こう告げるのだった。
「ではいいかしら」
「はい、お姉様」
「これからですね」
「私達三人とその軍だけでやるわ」
 その戦いをだというのだ。そうするというのだ。
 
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