| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三百二話 エメラルドとルビーの街その十

「本当にね」
「そうなのね」
「あくまで僕の好みだよ」
「義和のなの」
「そちらがいいかな、一族の中には好きな人もいるけれど」
 その三大珍味がだ。
「特にフォアグラがね」
「お好きなの」
「その人はね」
「そうなのね」
「うん、けれど僕はね」
「そんなになのね」
「好きじゃないよ」
 三大珍味のどれもだ。
「それにフォアグラって鵞鳥の肝臓だけれど」
「ああ、特別に太らせた」
「首から下を埋めてね」 
 そうして動けない様にしてだ。
「無理に太るものを食べさせて本当に太らせた」
「そうした肝臓よね」
「これ動物虐待って言われてもね」
「否定出来ないわね」
「そこまでしなくても」
 僕は思う。
「いいよ」
「肝臓食べるなら普通にっていうのね」
「鵞鳥にしてもね」
「それでいいのね」
「ロッシーニも好きでね」
 イタリアの音楽家で多くの歌劇を残している、イタリアからパリに行って美食を楽しんだことで知られている。
「舟遊びをしながら食べようとして川に落としたとか」
「そうしたお話もあるの」
「それで泣いたってね」
 美味しいものを食べ損ねてだ。
「そんな話もあるけれど」
「そこまでしなくてもっていうのね」
「ロッシーニって痛風になったよ」
 それでかなり苦しんだらしい。
「これってやっぱりね」
「贅沢してで」
「その贅沢の中にね」
「フォアグラもあったのね」
「そうだったと思うよ」
 ここで言う贅沢は美食だ、兎角美食三昧だったとのことだ。
「あの人については」
「そうなの」
「本当にね」
 僕が思うにだ。
「フォアグラは動物虐待でコレステロールも高いし味もね」
「美味しくてもなの」
「そんな必死に食べる様な」
 そうしただ。
「ものじゃないと思うよ」
「義和としては」
「普通にあん肝でいいよ」
「じゃあ河豚は」
 香織さんはこちらはどうかと聞いてきた、前菜も次第になくなってきていてメインのターキーが近付いていた。
「どうなの?」
「ああ、珍味だっていうね」
「それは食べたことあるの?」
「ないよ」
 僕は生ハムとメロンを一緒に食べつつ答えた。
「一度もね」
「そうなのね」
「あれは毒があるからね」
「ない種類もいるわよね」
「サバフグがそうかな、けれどね」
「食べたことはないの」
「うん、河豚はちゃんと調理すれば大丈夫だよ」
 毒のある部分を丁寧に取り除けばだ。
「それでね」
「食べられるわね」
「それで美味しいけれど」
 河豚を食べると他のお魚は食べられなくなると言われている、これは毒にあたると死ぬこともあるけれどその美味しさからも言われている言葉だ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧