八条学園騒動記
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第五百九十五話 正門を去ってその六
「それには」
「そうだな」
「しかしね」
ビアンカは難しい顔になって述べた。
「そうしたのにはね」
「なりたくないな」
「出来ればな」
そうだというのだ。
「本当に」
「そうよね」
「人間何かには絶対になれてもだ」
「いいものになりたいわよね」
「そう思うのが普通だ」
「だからよね」
「馬鹿も馬鹿でな」
アルフレドは顔を顰めさせて話した。
「それもだ」
「そこまでだとね」
「なりたくはないね」
「あれね、反面教師ね」
ビアンカはこう言った。
「そうした人は」
「なっていてもだな」
「ああはなるまい」
「そうだな」
「反面教師にすべきね」
「普通の人はな」
「その馬鹿さ加減を見て」
そしてというのだ。
「自分自身はね」
「絶対にな」
「なってはいけないってね」
「思ってな」
「他の何かになることね」
「世の中反面教師も必要なんだね」
ロミオは考える顔で述べた。
「本当に」
「殆どのまともな人の為にな」
「そうした馬鹿も必要なんだね」
「そうだ、しかしな」
「自分がなることはね」
「論外だ」
「そうだよね」
「ただ反面教師になる奴はだ」
そうした輩はというと。
「自分で自覚はない」
「そうだよね」
「ここで話している馬鹿もな」
「馬鹿だっていう自覚はないね」
「どうしようもないレベルでそうだということはな」
「まともな親御さんなら泣くレベルのね」
「自覚はない」
自分がそこまで愚かだということはというのだ、世の中自分を決して見つめなおすことがない輩もいるのだ。
「一切な」
「他の人からどう見られても」
「それもだ」
「自覚がなくて」
「それでだ」
「反面教師になるんだね」
「そういうことだ、だが」
ここでアルフレドは考えなおす顔になった。
そうしてだ、こうロミオとビアンカに話した。
「そこまでの馬鹿は生きる価値がないと言ったが」
「違う?」
「そう言うの」
「そうだ、他の人の反面教師になるならな」
それならというのだ。
「生きている価値はある」
「ああはなりまい」
「他の人にそう思わせて」
「それで立派な人を少しでも多くする」
「そうした役目があるから」
「生きる価値はある」
そうした愚か者でもというのだ。
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