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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十九話 植物園に行ってその三

「私も飲まないわ」
「そうするんだね」
「葡萄ジュースよ」
 くすりと笑って言ってくれた。
「そちらをね」
「喫茶コーナーで飲むんだ」
「ここに来た時はいるもローズティーを飲むけれど」
 それでもというのだ。
「今日はクリスマスだから」
「葡萄ジュースだね」
「ワインじゃないけれど原材料はワインと同じだから」
 葡萄だからだというのだ。
「こちらをね」
「飲むんだね」
「そうするわ」
「じゃあ僕も」
「葡萄ジュース飲むの」
「そうしようか」
 こう香織さんに答えた。
「二人で」
「それじゃあね」
 香織さんは頷いてくれた、そうしてだった。
 二人で一緒に植物園の中を巡っていった、その中で温室の中の薔薇の園にも入った。そこには様々な色の薔薇があった。
 赤に白、黒、黄色、そして青だ。他にはピンクに紫もある。その薔薇達を見て香織さんはこんなことを言った。
「薔薇って不思議よね、クリスマスに見ても納得出来るから」
「そこに咲いていたらかな」
「ええ、そうしていたらね」
「何時でもってことだね」
「夏でも冬でもね」
 季節に関係なくというのだ。
「何時でも咲いていたらね」
「納得出来るんだね」
「私としては」
「そういえば桜なんかは」
 梅や桃もだ。
「春でないとね」
「絵にならないわね」
「雪桜はあっても」
 遅い雪が降ってだ。
「それでもね」
「夏の桜とかね」
「ちょっと以上に合わないね」
 何かが決定的に違う。
「言われてみれば」
「そうよね」
「菖蒲も百合も紫陽花も」
 こうした花もだ。
「どうもね、秋の終わりとかだと」
「合わないでしょ」
「そうだね、けれど」
「それでもよね」
「薔薇はね」
 言われてみればだ。
「不思議とね」
「何時でも合うわね」
「そこに咲いていたら」
 それだけでだ。
「絵になるね」
「薔薇はそれだけが華があるから」
「そのことが大きいね」
「そう思うとね」
 本当にだ。
「確かに凄い花だね」
「薔薇は」
「そうした花も珍しいね」
 僕はつくづく思った。
「薔薇みたいなお花は」
「他にはないわね」
「夏でも冬でも」
 本当に季節に関係なくだ。
「薔薇はね」
「絵になるのよね」
「今だってね」
「クリスマスでもね」
「絵になってるね」
「ええ、華やかさが凄いから」
 香織さんは僕に笑って話した。 
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