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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十八話 クリスマスのはじまりその十六

「したくないです」
「死んで喜ばれるということは」
「そうです、人は必ず死にますが」
「それでもですね」
「その死に方が問題で」
「喜ばれる様なことはですね」
「決してです」
 それはというのだ。
「ならないとです」
「思われていますね」
「六十、還暦を過ぎてから強く思う様になりました」
「それからですか」
「それまではそうは思いませんでしたが」
 それがというのだ。
「六十を過ぎてからです」
「思われる様になって」
「今は殊更です」
「そうですか」
「おそらく寿命の関係で」
 このことでというのだ。
「考える様になったのかと」
「じゃあ僕も」
「はい、年齢を重ねられると」
 その時にというのだ。
「そう思われるかと」
「そうなんですね」
「ですが」
「それでもですか」
「義和様にはこのことは覚えておいて頂きたいですが」
「それでもですか」
「今はお若いので」
 だからだというのだ。
「人生の経験をです」
「それをですね」
「摘まれて下さい、今日もまた」
「クリスマスをですね」
「経験されて」
 そうしてというのだ。
「人生の糧とされて下さい」
「それじゃあ」
「今から行かれて」
「行ってきます」
「それでは」
 二人でこう話してだ、そしてだった。
 僕は外に出た、香織さんとのデートに行く為に。ここに僕達のクリスマスがはじまった。


第二百九十八話   完


                   2020・9・1 
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