夢幻水滸伝
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第百八十二話 枢軸の神具その十
「いいかと」
「あっ、ええね」
「はい、強いウォッカをです」
「海を見ながら飲むんやね」
「それもいいですね」
「そうやね、ウォッカをぐいぐい飲んで」
そうしてとだ、綾乃はエカチェリーナの言葉を聞きつつ言った。
「海を見るのもええね」
「そうですわね」
「そのウォッカはストレートやな」
芥川は綾乃に確認する様に尋ねた。
「やっぱり」
「海やとロックもええけど」
「基本ストレートかいな」
「それがウォッカは一番ええと思うで」
「凄い会話やな」
「ウォッカのストレートは基本やろ」
マリーナはこう述べた。
「ほんまに」
「いや、基本やないやろ」
「そうだ、ウォッカは強い酒だ」
日毬がマリーナに言ってきた、唐揚げを食べながら言っている。
「だからそうそうストレートでは飲めない」
「そうなん」
「ロシア人は違う」
他の国の者達とは、というのだ。
「これはフィンランド人も同じだが」
「ウォッカが普通やっていうんやね」
「そやで」
まさにというのだ。
「何の問題もないで」
「飲むと一気に酔いが回って熱くなるけどか」
中里が言ってきた。
「それでもかいな」
「それがいいと思うで」
「そこは感性の違いやな」
「というか熱くならんと困るべさ」
ゴンチャロフはそれはと言った。
「寒いところにいたらウォッカであったまって」
「こうしたとこでもか」
「そだ、おい達は寒いより熱い方がいいだ」
「そうなんやな」
「それでだ」
「夏でもウォッカか」
「ウォッカはロシア人の魂だ」
チェーホフも言うことだった。
「これないともう動かないだ」
「ウォッカ飲まんとか」
「ロシア文学もロシア音楽も誕生しないで」
「どっちもなかったか」
「科学も建築も何も動かないだ」
そうしたこともというのだ。
「まさにウォッカはロシア人のガソリンだ」
「ウォッカないと働くこともか」
「無理だ」
チェーホフは真剣な顔で述べた。
「軍隊でも普通に飲んでるだ」
「あのソ連もお酒は制限しなかっただ」
ツルゲーネフも話すことだった。
「酒飲まないで働けって言ったらソ連潰れただ」
「これがほんまやからな」
芥川も唖然とした口調で言った。
「凄いな」
「そんなことロシア人には出来ねえだ」
「お酒飲まんとか」
「ウォッカがないとだ」
それこそとだ、ツルゲーネフは芥川に話した。
「本当に動けねえだ」
「とりあえずロシアはそういう国やな」
「そだ」
ツルゲーネフは中里にも答えた。
「そのことわかってくれると嬉しいだ」
「そやねんな」
「というかウォッカがあってお家があって仕事があって」
ゴーゴリは真剣な顔で中里に述べた。
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