八条学園騒動記
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第五百九十三話 正門に向かう途中その十二
「その中でもね」
「あいつは特にな」
「嫌な奴で」
それでというのだ。
「失脚して欲しいね」
「そう思うな」
「無能な人間がね」
そうした者がというのだ。
「総統になればいいのに」
「そうよね、エウロパはね」
ビアンカが言った。
「もううんと無能な人が総統になって」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「無能な政治をして欲しい」
「そうなったらね」
「連合は大助かりだ」
「そうよね」
「それこそがな」
「連合にとっていいことよね」
「有能な敵は厄介だ」
これ以上はないまでにというのだ。
「本当にな」
「その通りよね」
「しかし無能な敵はな」
「嬉しいわね」
「これはその通りだ」
「無能な敵はいて欲しいわね」
「是非な、だがあいつはいる」
実際にというのだ、ギルフォードは。
「今エウロパにな」
「それで紅茶飲んで偉そうにだね」
ロミオはギルフォードがイギリス人であることから紅茶を出した、この時代でも紅茶はイギリスのシンボルの一つなのだ。
「政治やってるんだね」
「今もな」
「全く、何とかならないかな」
「残念だがエウロパにいるからな」
「どうしようもないね」
「あいつはそのままだ」
「エウロパを強くしていくんだね」
ロミオは忌々し気に言った。
「腹立つね」
「だが仕方ない」
「あいつがそのままなのだ」
「もうな」
それこそと言いつつだ、アルフレドは歩いていった。ロミオもビアンカもそのまま一緒で三人で正門に向かっていった。
正門に向かう途中 完
2020・10・24
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