| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五百九十三話 正門に向かう途中その七

「結果敵だらけだった程だ」
「コミュ障害だったのかな、ベートーベンって」
 ロミオはここまで聞いてこう言った。
「ひょっとして」
「その様だな」
「今で言うとそうなんだね」
「兎に角突き合いにくい人だった」
「人格は偉人じゃなかったんだね」
「そうだった、タイ=カップなんかはだ」
 この時代ではこの人物も偉人とされている。
「最悪の人間性だった」
「最悪だったんだ」
「最高の野球技術を持っていたが」
 それでもだったとだ、アルフレドはロミオにもビアンカにも話した。
「しかしだ」
「人間としては最悪だったんだね」
「暴力的で人種差別主義者だった」
「その二つの要素があったんだ」
「口も悪くてな」
「嫌われていそうだね」
「当時からファンのブーイングが絶えなかった」
 このことは歴史にもある。
「声援よりもだ」
「ブーイングの方が多かったんだ」
「そうした人だった」
「そうなんだね」
「そしてだ」
 アルフレドはさらに話した。
「自分を罵った車椅子の人を殴ったりもした」
「いや、もうそれって」
 今度はビアンカが唖然となった。
「幾ら何でも」
「駄目過ぎるな」
「昇進正銘の屑じゃない」
「それで球界を追放しろとも言われた」
「今だったら絶対に追放ね」
「どのスポーツの世界でもな」
「永久追放でしょ」 
 極刑だというのだ。
「それこそ」
「まあ連合は各国スポーツの機構がそれぞれ幾つもあるから」
 ロミオはこのことから話した。
「他のところに入ったらね」
「いけるけれどね」
「一国で複数の運営機構があるから」
「その機構で永久追放になってもね」
「そんなお話もあるけれど」
 それでもというのだ。
「けれどね」
「それでもよね」
「今でもそんなことしたら」
「どの機構でもお断りになるわね」
「洒落になってないから」
 観客それも障害者に暴力を振るう様な行為はだ、尚罵倒に対して罵倒で返す位なら注意で済む。ただしその罵倒の内容次第だ。
「それこそ」
「本当にね」
「当時でも問題になったのは」
「当然よね」
「よく追放されなかったね」
「そうなってもおかしくなかったと思うけれど」
「実際そうなってもおかしくなかったが」
 アルフレドはあらためて話した。
「幸いだ」
「そうはならなかったのね」
「そうして現役生活を続けてな」
 そうしてというのだ。
「四千本安打を達成した」
「能力は高かったのね」
「だから最高の技術を持っていたと言われていた」
「そして最悪の人格だったのね」
「そう言われていた」
「四千本安打は伊達じゃないのね」
「盗塁は八百以上した」
 このことも記録にある。
「俊足でもあった」
「凄い選手だったことは確かなのね」
「そのことは事実だ」
「それで偉人なのね」
「乱闘の時相手選手に拳銃を突き付けたこともあったらしい」
「それも凄いわね」
「兎に角色々なトラブルを起こした人だった」
 人格面は最悪だったというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧