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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十八話 クリスマスのはじまりその十一

「私はヒロポンに苦いお話を知っていますので」
「中毒になった人をご覧になられたんですね」
「織田作之助は結核で倒れそうになりながらもヒロポンを打って書いていました」
 そして東京で客死まで書き続けたのだ。
「戦争で負傷して痛み止めか一時期やっておられ」
「そうしてですか」
「傷痍軍人として昭和五十年までその年金で生きておられたのですが」
 その人がというのだ。
「ヒロポンをされていたことから自分は廃人になったと言われて結婚を申し込まれても」
「断わったんですか」
「そして弟さんは終戦直後喧嘩の仲裁に入って刺されて」
「そのことをですか」
「自分みたいなものが死ねばと言われていました」
「悲しいですね」
「その方はすぐに止められましたが」
 ヒロポンをというのだ、中々止められないというがそれが出来たことは凄いと思う。今も止められない人は多いからだ。
「こうしたことも見てきましたので」
「だからですか」
「私はです」
 どうしてもというのだ。
「麻薬はです」
「駄目だとですか」
「思います、決してです」
「手を出しては駄目ですね」
「健康の為にも」
 犯罪であるしだ。
「そこは義和様も覚えておいて下さい」
「そうですね、何であんなものをするのか」 
 僕にしてもだ。
「わからないです」
「左様ですね」
「そのお話を聞いて余計に思いました」
 悲しいお話だ、こうしたお話は終戦直後は結構あったのだろうか。
「本当に」
「麻薬中毒で長生きはです」
「出来ないですね」
「殆ど無理です」
「それだけ身体を蝕むってことですね」
「そうです、煙草も危険ですが」
 それ以上にというのだ。
「恐ろしいものなので」
「気を付けます」
「そして健康診断もです」
 これもというのだ。
「定期的にです」
「受けるべきですね」
「血圧や血糖値、尿酸値もわかりますし」
「癌のこともですね」
「それもわかりますので」
「早期発見なら助かりますし」
「癌も早期なら怖くないです」
 助かる病気だ、だから癌は怖いものでも心底怯えることもないのだ。中にはまさに心底恐れている人もいるけれど。
「ですから」
「健康診断もですね」
「定期的に受けて」
 そうしてというのだ。
「何時もチェックして下さい」
「そうします」
「私は幸いこれまで問題になったことはないです」
 健康診断でというのだ。
「血圧や血糖値は」
「尿酸値もですね」
「はい、癌もです」
 こちらもというのだ。
「幸いに」
「それはいいことですね」
「脳梗塞にも気をつけていますが」
「それも怖いですか」
「そうです、杖をついておられるお年寄りは多くがです」
「脳梗塞になられた人ですか」
「命の危険もあるので」
 それだけにというのだ。
「いつもです」
「気をつけておられますか」
「そうしています」
 脳梗塞についてもというのだ。 
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