八条学園騒動記
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第五百九十三話 正門に向かう途中その五
「もう最後の最後まで耐えて」
「そしてその最後でなんだ」
「切って切って切りまくる」
「そうするんだ」
「渋くてダンディでね」
ビアンカはその高倉健のことをさらに話した。
「今にはいないタイプね」
「そうなんだね」
「あんな人いたら素敵よ」
「高倉健は僕も知っているが」
アルフレドは妹に対して言った。
「背筋がしっかりしているな」
「ぴしっとしているのよね」
「銀幕を離れるとかなりの人格者だったそうだな」
「そうだったの」
「礼儀正しく謙虚な紳士だったらしい」
「大スターだったのに」
「素晴らしい人格の方だったらしい」
このことは生前から有名だった、その為スタッフがかえって恐縮したという。
「大学時代は相撲部でだ」
「えっ、お相撲していたの」
「そうだったらしい」
「そうは見えないけれど」
「だが事実だ」
高倉健が相撲部だったことはだ。
「明治大学でな」
「日本のあの古い大学ね」
「あちらでな」
「お相撲していたの」
「そして俳優さんになってだ」
「ああなったのね」
「大スターにな、ヤクザ映画に多く出たが」
それでもだったのだ。
「素顔は謙虚で礼儀正しい人だった」
「紳士だったのね」
「しかも律儀な、な」
「物凄い人だったのね」
「映画の中でも私人としてもな、こんな話もある」
アルフレドは妹に高倉健についてさらに話した。
「結婚して別れる時奥さんと再婚しないと約束してだ」
「それでまさか」
「実際に一生な」
「結婚しなかったの」
「その約束を守ってな」
「律儀な人だったのね」
「そうだな、本当に立派な人だったらしい」
こう言うのだった。
「だから日本の偉人の一人になっている」
「人格者でもあったから」
「文化勲章も貰ったしな」
「うわ、日本の国家元首から直々に」
「天皇からな」
「連合で物凄い権威でしょ」
ビアンカもこのことには驚いた。
「その方からなのね」
「頂いていてな」
そしてというのだ。
「偉人にもなった」
「凄い人なのね」
「ただの俳優じゃなかったことは確かだ」
「そうよね」
「偉人といっても色々だが」
人格に問題があった者も多い、日本では森鴎外はお世辞にもいい人とは言えなかった。
「しかしだ」
「あの人は人生のお手本に出来る人だったのね」
「趣味は夜更かしで朝中々起きてこなかったらしいが」
そうしたことはあったがというのだ。
「立派な人だった」
「そのことは間違いないのね」
「だからスタッフの人達にも慕われた」
「人格者だったのね」
「人間ああならないとな」
アルフレドはこうも言った。
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