八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五百九十三話 正門に向かう途中その四
「わかるよ、僕も」
「当時は混血とかなかったから」
「あってもそんなにだね」
「そう、今よりずっとね」
「混血していなかったから」
「それでね」
だからだというのだ。
「アジア系だけだったのよ」
「日本の映画も」
「それも純粋なね」
「純粋なアジア系も少ないけれどね」
連合ではだ、大抵の者が白人や黒人と混血している。三つの血が全て混血しているのが連合の特徴だ。
「今だと」
「けれど当時はね」
「純粋なアジア系の人ばかりだったんだ」
「日本人のね」
「それで映画に出て来る人も」
「そうした人ばかりだったのよ」
純粋なアジア系の者ばかりだったというのだ。
「そのこともわかって面白いわよ」
「成程ね」
「そうした映画も観てね」
「楽しんでるんだ」
「今の連合のヤクザ映画にないものがあって」
それでというのだ。
「面白いわよ」
「ヤクザ映画ね」
「今のヤクザ映画ってファミリーでしょ」
「マフィアものだね」
「要するにね、黒いスーツ着て」
マフィアの者達がというのだ。
「何かあると銃撃でね」
「ファミリーの結束とか抗争とかね」
「裏切りとかね」
「あと利権の争いとか」
「そういうのは当時の日本のヤクザ映画でもあるけれど」
それでもというのだ。
「けれどね」
「それでもなんだ」
「より泥臭い感じがするのよ」
「今のヤクザ映画よりも」
「ええ、どうもね」
「そうなんだね」
「だからそういうことも観られて」
ビアンカはロミオに話した。
「面白いわよ」
「そうなんだね」
「刀も出るしね」
「日本だから日本刀かな」
「日本刀は長ドスって言って」
この用語も出した。
「一本だけなのよ」
「一本だけっていうと」
「武士の人だと二本差しじゃない」
「ああ、時代劇とかでね」
ロミオもこのことはわかった、日本のこのジャンルはこの時代では連合全体で製作されているのだ。
「武士はそうだね」
「たまに間違えてる作品あるけれどね」
「背中にあったしね」
「あれは忍者だから」
刀を背中にさすのはというのだ。
「武士は腰にさしてるでしょ」
「二本ね」
「けれどヤクザ屋さんは一本だからね」
「長ドスなんだ」
「そう言うのよ」
「そうなんだね」
「その長ドスや短い刀、こっちはドスね」
ビアンカはこちらの武器の話もした。
「そういうのもね」
「使うんだ」
「それで高倉健さんは」
この偉大な俳優はというのだ。
ページ上へ戻る