召喚されし帝国
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諜報網の再構築と新部隊設立
総統官邸
「改めまして、ガリア王国の皆様ようそこ我がドイツ帝国へ、帝国総統として、私とそして我が帝国の国民は、貴方を歓迎します」
「こちこらそ、これ程までに歓迎していただき恐縮です」
ヒトラーとジョゼフ、ドイツとガリアの代表である二人がそう挨拶をし終わると、早速用意された椅子に座り、国交樹立に向けた会議を始めた。
「さて早速ではありますが、我が国としましては貴国との国交樹立を支持しておりますが、ガリア王国としてはどのようにお考えしょうか」
「うむ、我々としても貴国ほどの巨大国家が我が国の新たなる隣国となった以上、安全保障の面から言って貴国との国交樹立は急務だと考えている…が、その前に教えてもらいたい事があります」
「何でしょうか?」
リッベントロップがジョゼフに聞いた。
「簡単な事です、私の主観としては貴国らドイツ帝国とやらは、ハルケギニアの…いや、この世界の国だとは思っていない、強いて言うなら全く別の世界、それか全く別の惑星の国ではないかと思っている…」
「…何故そう思われる?」
するとその言葉を聞いたヒトラーが突如そう言った。
「貴方が保有するセンシャやテツドウ、ヒコウキなる工芸品は今の我が国、いやこの世界の技術ではまず再現が不可能な工芸品だと感じたからだ、それにこの世界の衣服や街並みも今のハルケギニアでは異質な物ばかり…これならば異世界から来たと言われた方が納得できる」
「成る程‥お見事な見識ですなジョゼフ皇太子…」
「ほう、では…」
「えぇ、我が国は貴方が仰るとおりこの世界の国家ではありません、地球と言う全く別の世界から突如飛ばされて来たのです…」
「成る程…それは、災難と言うべきですな。如何でしょうヒトラー総統、我が国としては貴国との国交樹立には賛成です、そこで国交樹立の際には我が国が知りうる限りのこの世界の情報、そして我が国が仲介者となって我がガリア以外の他の諸外国に対し、貴方方ドイツ帝国の紹介と国交樹立をお手伝いさせていただきたい」
「それはありがたい話です。しかし、流石に貴方方も慈善事業では無いはず、その見返りとして我が国は貴国に対し何をすれば宜しいですかな?」
「そうですな、我が国や諸外国はお恥ずかしながら、貴方方ドイツ帝国に比べ大きく遅れています。そこで貴国の優秀なインフラの輸出、貴国の旧型武器の我が国への輸出、そして貴国との独占貿易権を頂きたい」
「成る程…良いでしょう、今すぐ認めると言うわけには行きませんが前向きに検討しましょう」
「よろしく頼みます」
ヒトラーのその言葉を聞きジョゼフはそう言った。
その後もドイツとガリアの交渉団との間で細かい話し合いが行われ、そして今回の会議で決まった事をまとめ、伝書鳩を通じガリア本国にいるガリア王ヘ送った。
そしてその夜
総統官邸の大理石の広間において、ジョゼフ率いる交渉団とヒトラー率いるナチスドイツの幹部達との交流会を兼ねた晩餐会がおこなれる事となった。
「おお…」
「なんて豪華な料理なんだ…」
今回の晩餐会において、ドイツ側はフランスの有名レストランのシェフとドイツのホーエンツォレルン家やオーストリアのハプスブルク家に仕えていた宮廷料理人を動員し料理を作らせた為、その豪華さと芸術性にガリア王国の使節団達は目を奪われていた。
そして外交団達が席に座ると、まずは料理長のスピーチ、そして続いてドイツ第三帝国総統であるヒトラーのスピーチが始まった。
「我がドイツを支える我が党の同志達、今日はまさに我がドイツ千年の歴史の1ページに残る人なった!我が帝国は欧州を支配するまでの国家再建の道のり、その後の戦争、そしてそれに続くこの世界への転送により何度も苦難と試練に満ちた日々を歩んで来た、しかし我が国はこうして新たなる友人、新たなる同胞となるガリア王国の友人達をこうして我が帝国の都へと招き、友情を結ぶ第一歩を踏み出した!今日この日より、両国はは新たなる良き歴史を歩む事となるだろう!!!我が国とガリアの未来と友情を祝し!ジーク・ハイル!!」
「「「ジーク・ハイル!!ハイル・ヒトラー!!Heil ・Freundschaft!!ジーク・ハイル!!ハイル・ヒトラー!!Heil ・Freundschaft!!ジーク・ハイル!!ハイル・ヒトラー!!Heil ・Freundschaft!!!」」」
ヒトラーの演説が終わると同時にナチス幹部達は皆一斉にナチス式敬礼を行いながらそう叫び続けた。
そして
「では、我がガリアとドイツの友好を願い!Prosit!」
最後にヒトラーがそう言うと皆グラスを掲げ、シャンパンを喉に流し込み、それが終わると食事を始めた。
「如何ですかな、どれも我が国で獲れた食材で作らせ、ワインやシャンパンも最高級の物を用意させました」
「どれも素晴らしい料理ですな。この国が技術だけでなく、文化面でも素晴らしく発展している事を改めて理解できました」
「気に入っていただけで幸いです」
ヒトラーは笑顔でジョゼフにそう言った。
「いや〜最初はこの任務嫌だと思ってはいたけど、こんなうまい物を食べられて、悪い任務じゃなかったな」
「全くだ、それに料理だけじゃなくてこの国の街並みや衛生環境は素晴らしいとしか言えないな〜俺は侯爵家出身だがどうせ次男だから、いっその事ドイツに移住しようかな〜」
ついこの前まで文句を垂れていた貴族達はドイツで受けたもてなしに気を良くし、中にはドイツに移住したいとまで言い出す者も居た。
それから次の日
次の日もガリア王国の使節団に対して、ドイツの文化力と国力を見せつける意味合いもある接待は続き、今日この日の朝は博物館島の異名で名高い、ムゼーウムス島の旧博物館、新博物館、フリードリヒ博物館、ペルガモン博物館を見学し、使節団達は、博物館の収蔵量に驚き、そして感心した。その後は、ナポレオン戦争にプロイセンが勝利した事を記念に作られた戦勝記念塔、ナチスがベルリンオリンピックのために作ったオリンピアシュタディオンを見学し、お昼にはドイツのポピュラーな食事であるソーセージなどの料理やビールを堪能した。
その過程でジョゼフや、察しの良い貴族達は、ドイツの一般的な食文化が最近出来たばかりの新興国であるゲルマニアと共通する物があると感じた。
そしてその夜はベルリン国立歌劇場でベルリンフィルの演奏会を見学するなどまさに至れり尽せりであった。
因みに余談ではあるが、ジョゼフは一瞬で風景の画像を撮る事が出来るカメラに興味示し購入、このベルリンでの観光の際訪れた建物やベルリンの街並みを余す事なく写真に収め、それから次の日に伝書鳩の返信により国交樹立、そしてドイツとガリア両国の同盟を求めるとの王からの訓令が届き、ヨーロッパを征服した大国ドイツとハルケギニア最大の大国であるガリアの両国は同盟に向けて動き出した。
そしてその後
後の交渉は本国から来た使節団に任せ、ジョゼフはベルリンだけでは飽き足らずヒトラーに頼み、ニュルンベルク、デュッセルドルフ、ハンブルク、ミュンヘン、ウィーン、プラハの視察を行わせてもらう事になった(因みに本当であればパリにも行くつもりではあったが、パリは連合国の支援が完全に途絶え消滅に向かっているとは言え、まだ多くのレジスタンスが蔓延っている為、保安上の理由で今日は見送る事となった)
そしてこの観光の間にジョゼフはヒトラー達ナチスドイツに対しある密約を交わした。
それは、自分が王位につけなかった場合にはクーデターを起こすつもりである為、自分が持つ私設軍の教育と、クーデターの際には自分を支援してもらいたいと言う事である。
ドイツ帝国とガリア、果たして両国はこの先どのような道を歩んでゆくのか、それは今は誰にも分からない事であった。
場所は変わり
国家保安本部庁舎
ジョゼフがドイツの大都市を観光している間、国家保安本部では対外情報部門の再建というプロジェクトが開始されており、スパイやSD、外務省の中でも優秀な職員が揃って長官室へ集められ、その中にはドイツ人部隊で初めてガリア側の人間と接触した第502SS猟兵大隊所属の中隊長であるアドラー大尉改めて少佐の姿もあった。
「諸君等も知っている通り、我が国とガリアは国交及び同盟と体制保障条約を結ぶ事に成功した、これに伴い我が国家保安本部もガリアを中心に新たに現れた世界、正式名称ハルケギニアの各国に対する諜報網の再構築を急速に行う必要がある、そして今回ここに集められた者はそれぞれその道のプロとして、先ほど言った諜報網再構築という任務についてもらいたい、ハルケギニアについて我々が手に入れた最新の資料は手元にある、これを見てこれから諸君達が活動する世界について知っておいてもらいたい…何か質問はあるか?」
ハイドリヒがそう言ったその時、アドラー少佐が手を上げた。
「君は?」
「はっ!元第502SS猟兵大隊第二中隊長、ナイトハルト・アドラー少佐であります!!閣下、一つだけ質問をよろしいでしょうか?」
「何だね少佐?」
「はっ!諜報網の再構築、それは理解でき、ここに集められている皆もその道の専門家である事も将官は理解できます。しかし私はあくまでただの軍人です、何故私も今回のプロジェクトに参加する事になったのか、お教え願いますか?」
「ふむ、良い質問だアドラー少佐、それは君が優秀なコマンド部隊の指揮官だからだ。知っての通り、我々が新たに諜報網を構築するハルケギニアは普通の人間だけではなくメイジなる程魔法を使う人間も存在している。彼等がどのような能力を持っているかは今は分からないが、諜報活動をする以上彼等との戦闘も必ず起こるだろう、ゆえに先のガリア西部に対する調査の際、メイジとの戦闘経験があり、かつ特殊作戦を得意とする貴官の存在はからなず必要となる。つまりアドラー少佐、貴官は表向きは在ガリアドイツ大使館の駐在武官の一人となってもらうが、裏では君の部隊、そして私が新たに用意した人員によって編成される特殊部隊の指揮を指揮を任せたい。理解したかな…?」
「…了解しました、そういう事であれば全力で職務にあたります」
「よろしい」
ハイドリヒはアドラー少佐のその発言に満足しそう言った。
後日、要人暗殺や破壊工作、ドイツとの敵対国家内に巣食う不穏分子に対する教導任務を目的としたアドラー少佐改め、アドラー大佐が指揮する国家保安本部直轄の秘密部隊、第666SS猟兵大隊、部隊名ヴェアヴォルフが秘密裏に編成された。
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