召喚されし帝国
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
再編と会談
第502SS猟兵大隊がガリア王国第一王子ジョゼフ率いる調査隊と第502SS猟兵大隊が接触した次の日
ドイツ第三帝国首都ベルリン
ベルリン総統官邸
第三帝国が異世界に転送され一週間近く経ったが、連合軍との戦いから逃れれる事が出来たヒトラーだが、それでも忙しい事には変わりなかった。
特に転送によりイギリスやアメリカの脅威がなくなった故に西部戦線の戦略的価値がなくなった為、西部戦線における部隊の東部への移動と人事、更に異世界転送により、国家保安本部の対外情報部門が役に立たなくなった為、その再編成などの会議で連日大忙しであった。
そしてこの日も国防軍、SS幹部を集めて転送以降のドイツ軍やSSの再編成などの報告会議が行われる事となっていた。
そしてヒトラーを含む軍、SS、各行政機関の幹部達が集まった所で早速会議が始められ、まずは国防軍最高司令部総長であるカイテル元帥が発言を始めた。
「それでは、我々国防軍からはまず最初に各戦線における軍の配置転換についてご説明します。総統閣下もご存知とは思いますが、わが国は今回の転送により、アメリカ、イギリス、そしてフランス残党との戦いを主目的にした西部戦線の存在意義が完全に消失したと言っても過言ではありません。そこで総統閣下のご指示通り、まず西方総軍に所属する、ロンメル元帥率いるB軍集団に新たに第1軍、第5装甲軍を編入させB軍集団の戦力を強化し、その上で目下1番兵力が必要な東部戦線へと配置転換を行いました。またこの世界へと転送と同時に復活した兵士達を再編し、東部方面軍の各軍集団への再編入を行う予定です」
カイテルは文面に書かれている文章を読み上げ、ヒトラーにそう説明した。
今回の戦力配置と再編成によって東部戦線の戦力の配置と総司令官人事は以下の通りとなった。
B軍集団
司令官:エルヴィン・ロンメル元帥
第1軍
第5装甲軍
第7軍
第15軍
中央軍集団
司令官: ヴァルター・モーデル元帥
第3装甲軍
第4軍
第9軍
第2軍
南方軍集団
司令官: エーリッヒ・フォン・マンシュタイン元帥
第4装甲軍
第1装甲軍
第8軍
第6軍
北方軍集団
司令官: フェルディナント・シェルナー元帥
第16軍
第18軍
第3SS装甲軍団
第26軍団
第43軍団
これらが主な兵力でありその数、兵員300万以上、戦車、装甲車は数千、そして最新鋭の戦車であるティーガー2を真っ先に配備するなどの処置、また陸軍以外にも東部戦線に展開する空軍にも最新鋭のジェット戦闘機であるMe262が優先的に配備される事が決まり、また一度は気に入らないと言う事で解任されたドイツ陸軍最高の頭脳と呼ばれたマンシュタイン元帥も渋々ではあるが未知の世界に対する恐怖心から、ヒトラーにより再度南方軍集団の司令官に任命されるなどの再編が行われており、ハルケギニアの技術力と兵の動員力を考えると、その数と司令官の質は過剰にも程があった。
「軍の再編は分かった、しかし我々にとって目下最大の課題は対外諜報機関の再編だ、特に転送により壊滅的打撃を受けた国家保安本部の国外諜報局、国防軍アプヴェーアの再編は急務と言えよう。国家保安本部は生き返ってそうそうではあるが、私の一存でハイドリヒを再度長官に、そしてアプヴェーアは遺憾ではあるが、カナリスを再度責任者に就任させ対外諜報機関の再編成を行なっている状況だが、進展の方はどうなっている?ハイドリヒSS上級大将」
ヒトラーはこの世界にドイツが転送されたと同時に生き返り、更に1階級昇格し上級大将に昇格した、国家保安本部初代長官にして第三代国家保安本部長官となり現在壊滅したSSの対外諜報組織である第VI局の再編プロジェクトに従事しているハイドリヒに進展の程を聞いた。
「はっ、第VI局に関しては我々SSが世界に向けて派遣した工作員などに関してもこの世界へ我がドイツと共に飛ばされて来ていた為、人材に関しては問題はありません。しかしやはり、この世界において諜報活動を行う為にはこの世界の国家と接触し国交を結ぶ必要があります」
「やはりそうなるか…」
「しかしご心配には及びません総統閣下、実は今日入った情報なのですが、昨日第502SS猟兵大隊が接触したこの世界の人間の一人に、我が国と現在国境を接しているガリア王国なる国の王族が居るとの事です」
「なに、それは本当か!?」
「えぇ、如何やら彼等は我がドイツの調査の為派遣されたとの事です、そこで急遽ではございますが、出来るのであれば彼等調査隊を我が国、ひいては我がドイツの首都ベルリンへと招待すべきだと私は考えております。最も来るか来ないかは彼方の出方次第ではございますが…」
「うむ、良いだろう…そう言う事だ良いなリッベントロップ?」
「お任せください総統閣下」
ジョゼフ率いる調査隊をベルリンへと招待すると言うハイドリヒの提案を聞き入れたヒトラーは続いてドイツの外務大臣であるヨアヒム・フォン・リッベントロップにそう言った。
それから数日後、ドイツ側のジョゼフ達調査隊をベルリンへと招きたいと言う意思は第502SS猟兵大隊を通じ伝えられ、五日後にはジョゼフの判断、そしてガリア王の許可により、調査隊改めてガリア王国使節団と名前を変えた一段はベルリン行きが決定した。
数日後
「な、なんだこれは!」
「信じられん、ドイツはメイジがいない国だと聞いたのに、何故こんなものが空を飛べるのだ!」
「しかも、このヒコウキと言ったか、飛龍より早くその上高く飛べるなど、こんなものを作るドイツと言う国は一体!?」
貴族達は明らかに飛龍より大きな図体の癖に、飛龍より早くそして高く飛ぶ自分達が乗るドイツの旅客機、Fw 200の性能とこれ程の工芸品を作れるドイツと言う国の力に驚愕してた。
ジョゼフ率いる使節団はナチスからの招待及び国王からの指示によりベルリンへの招待を受ける事となった。
当初、ドイツ国内までの移動の間、第三帝国がメイジが一人もいない国だと聞き、多くの貴族出身の騎士達は、魔法至上主義の考えのせいでドイツをガリアより遅れた後進国だと思っていたが、その価値観は一瞬にして崩壊した。
まずドイツに足を踏む入れ最初に目にしてたのは東部方面軍に属する、騎士の鎧よりも頑丈で純度の高い鋼鉄に覆われた数千の戦車隊であり、その大きさと存在感、そしてその訓練で見たハルケギニアの推を集めた魔法をも超える破壊力を見せつけた、ティーガー2戦車合計36台による一斉砲撃、並のメイジか少し上の能力を持つメイジですら倒すことが出来る、ハルケギニアのマスケット銃よりも明らかに高性能なドイツ軍の銃と、その銃を数百万人もの兵士たちが全員装備していると言う驚愕の情報など、それを間近に見た使節団の騎士達は皆今まで抱いていた価値観が全て破壊された。
「まるで異世界を見てるようですね、ジョゼフ王子…これ程の技術力を持つ国家がまさか突然我が国のすぐ隣に現れるとは…」
「ふっ、そうだな…驚くべき事だな」
だがその一方でジョゼフはそう言うと興奮している他の貴族達を尻目に落ち着いた様子で、用意された紅茶を飲みながら別の事を考えていた。
(あの戦車とか言う兵器、更にドイツ軍が装備する銃…あれは、伝説の使い魔ガンダールヴの使っていたとされる武器や、ロマリアで保管されていた場違いな工芸品と瓜二つ…もしや、ドイツと場違いな工芸品は何か接点が…)
「ふふふ…退屈凌ぎにと思い今回の任務を引き受けたが、これは予想以上に面白い事になるやも知れんな」
ジョゼフがそこまで考えると不意に少し笑い始め、そしてそう呟いた。
それから数時間後
ジョゼフ達を乗せたFw 200はついに今や全ヨーロッパを事実上支配する、この世界の常識を遥かに超えた巨大国家であるドイツの首都であるベルリンに到着、上空から見えるベルリンの街並みに貴族達は再び驚愕した。
「こ、これは何という…凄まじい光景だ…」
「これ程の力を持つ大国ゆえ首都もそれ相応の物だとは考えていたが‥予想を遥かに超えている…」
都市計画に基づいて整然と縦横に舗装された幹線道路網やアウトバーン、巨大建造物に溢れた彼等ガリア王国の首都であるリュティスをも遥かに超える巨大な都市であるベルリンを上空から目にし、貴族達は開いた口が塞がらない様子でそう言った。
そして彼等を乗せたFw 200はまるで見せつけるかのようにベルリンの上空を一周し、ベルリン最大の空港であるテンペルホーフ空港に着陸した。
そして彼等使節団がテンペルホーフ空港に到着し、ジョゼフを筆頭にガリア王国使節団が外に出ると、そこには黒い制服を身に纏い、捧げ銃筒の状態で不動の姿勢で立つSS兵、そして宣伝省傘下の各報道機関の職員達が集まっており、報道陣はこの未知の世界で、ドイツが初めて接触した国の重鎮の姿を写真に収める為。一斉にシャッターのボタンを押し、更に他にもラジオ局のスタッフが、全ドイツ国民に対しドイツの新たな友邦国となるやもしれないガリア王国使節団を讃えるような放送を行なっていた。
そしてジョゼフがFw200にかけらたタラップを降り、正式にベルリンの地を踏むと同時に。ヒトラーと外相であるリッベントロップ、その他にもゲーリングやヒムラーなどのナチス幹部がジョゼフ達ガリア王国の使節団を迎えた。
「お待ちしておりましたガリア王国の皆様、そしてジョゼフ皇太子殿下、私はドイツ帝国総統として我が国の最高指導者を務めておりますアドルフ・ヒトラーです。まずは、貴国と国交も面識も何もない我が国の首都に恐れずお越しくださった、皆様の勇気を称えさせて頂きたい」
「先触れもなく、急に押しかけたにもかかわらず歓待をいただき感謝します。当使節団の指揮を勤めておりますガリア王国第1王子ジョゼフです」
ヒトラーとジョゼフは互いにそう挨拶をしすると互いに握手を交わした。
(この男がこの巨大国家を統べる王…)
(この世界で我がドイツが初めて接触した国家…この世界で、我が国が発展するためにも交渉は必ず成功させ国交樹立まで持ってゆくぞ…)
ジョゼフとヒトラー、それぞれ心の中でそう考えていた。
こうしてガリアとドイツ…後々までドイツやハルケギニアの歴史に残る、両国最初の会談が始まる事となった。
ページ上へ戻る