八条学園騒動記
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第五百九十二話 一日の売り上げその六
「完璧な人間はいない」
「ああ、ムハンマドもだね」
「ムハンマドは自分を一介の預言者と言っていた」
それに過ぎないとだ。
「そうな」
「そうそう、コーランの登場人物は欠点があってもね」
「前向きに動いて苦難を突破するな」
「自分の限られた力でね」
「だから面白い」
コーランはというのだ。
「イスラムの聖典だがそれを抜いてもな」
「ハッピーエンド多いしね」
「ハッピーエンドを苦難を乗り越えて掴む」
「だからいいんだよね」
「聖書の人物が殆どハッピーエンドだ」
「神様も性格違うしね」
ユダヤ教のヤハフェとイスラム教のアッラーは同じ神だとされている、だが旧約聖書とコーランでは性格が全く違うのだ。
「それこそ」
「別の神様の様だ」
「それぞれね」
「アッラーは寛容だ」
「人間の多少のことで怒らないね」
「多少間違いをしても不問だ」
コーランの中ではそうだ。
「アラビアンナイトもそうだ」
「えっ、アラビアンナイトって」
ビアンカはこの物語の名前を聞いて顔を赤くさせて言った。
「あれはね」
「どうした」
「結構いやらしいでしょ」
「そういえばそうした話が多いな」
「そうでしょ、だからね」
「好きじゃないか」
「どうもね、というかね」
ビアンカはアラビアンナイトについて話した。
「当時のイスラム社会って女性があんなに」
「自由か」
「どうだったのかしら」
「そうだったんじゃないか」
アルフレドはビアンカに答えた。
「僕達が思っているよりもな」
「自由だったの」
「ムハンマドはフェミニストだった」
このことは事実である。
「当時としては先進的なまでにだ」
「女の人大事にしていたの」
「そうした人だったからな」
だからだというのだ。
「かなりな」
「女の人も自由なの」
「そうだったみたいだ」
まさにというのだ。
「だからああしたな」
「アラビアンナイトみたいになの」
「女の人がいたのかもな」
「そうだったのね」
「ヴェールで顔を覆ってもな」
この時代ではサハラでもそうした人は少数派になっている、顔を出して普通の服を着て街を歩いている。
「部屋の中では脱ぐ、そしてだ」
「それでなの」
「ああした行動もな」
「していたの」
「さもないと書かないだろ」
最初からとだ、アルフレドはビアンカに言葉を返した。
「そもそも」
「アラビアンナイト書いた人も」
「そうだろう」
「まあモデルになったお話がないとね」
「書けないな」
「あの作品歴史上の人物も出るしね」
「それも普通にな」
ハールーン=アル=ラシード等当時のイスラム社会の有名人達が多く出ている。その彼等は歴史にも名を残している。
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