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夢幻水滸伝

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第百七十九話 星達の集結その十二

「あのままや」
「二度と上がったらあきませんね」
「心からそう思うわ」
「万年最下位のままで」
「そや、あのチームはな」
「巨人が弱いと何かといいからな」
 幸田はお握りを食べつつこう言った。
「不思議とな」
「景気がよおなるな」
「ああ、そうだよな」
 幸田は中里のその言葉に頷いて述べた。
「皆巨人が負けるの見て励まされてな」
「元気が出て頑張ってな」
「明るく働いてだよ」
「ええ感じになるからな」
「本当に巨人が弱いとな」
 これはこの世の真実である、多くの心ある人が邪悪が敗れる姿を見て励まされ元気が出るのである。
「そうなるな」
「そやろ」
「おいらはヤクルトファンだからな」
「巨人やないな」
「本当の江戸っ子が巨人応援するかよ」 
 幸田はおでんを食べながら言った、関東煮である。
「あんな悪事ばかり働くチームはな」
「本当の江戸っ子は悪事を許さへんからか」
「そうでい、だからでい」
「巨人は応援せんか」
「いるだろ、ガチャ目でスキンヘッドの奴が」
 幸田はここでテレビで出て来るこの輩の話をした。
「浮気の話があったら浮気された方が悪いって言うな」
「ああ、あいつか」
「あいつの実家は築地の寿司屋だけれどな」
「ポジションはまさに江戸っ子やな」
「けれどな」
 幸田は嫌そうな顔で述べた。
「あいつの倫理観はおかしいだろ」
「発言の内容滅茶苦茶やな」
「ああいう奴は本当に江戸っ子じゃねえんだよ」
「倫理観がおかしいとか」
「そうだよ、あれはただのあれだよ」
「ただのか」
「はっきり言って馬鹿だ」
 幸田は本当にはっきりと言った。
「築地の恥って言っていいな」
「そうやんやな」
「おいらと麻友っちの生まれは葛飾だけれどな」
「寅さんにお巡りさんの場所やな」
「築地のことも言うぜ」
「同じ東京としてやな」
「ああ、あいつはもうな」
 それこそというのだ。
「本当の江戸っ子じゃねえんだよ」
「似非やな」
「似非も似非でい」
 幸田は言い切った。
「本当の江戸っ子は勝海舟さんみたいな人でい」
「筋の通った人ってことやな」
「あの人は確かにはったり上手で船酔いしたけれどな」
 それで咸臨丸のときもまるで役に立たずアメリカに着いた時に大言したとしてその咸臨丸にいた福沢諭吉は彼を一生嫌っていた。
「それでもでい」
「筋は通ってたか」
「だからな」
「ああした人がほんまの助っ人か」
「おいらはそう思うぜ」
「それは事実やな」
 中里も幸田のその言葉に頷いた。
「伝え聞く勝海舟さんはな」
「江戸っ子だよな」
「生まれも育ちもだしな」
「気風もな」
「まさにな」
「あんな奴な」
 ガチャ目でスキンヘッドのその輩の様な者はというのだ。
「似非でい」
「というか江戸っ子でもないな」
「そうでい」
 幸田はおでんを食べながら言い切った。 
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