おぢばにおかえり
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第六十一話 食べてもらってその十
「かなり先よ」
「はい、その間ずっとです」
「ずっと?」
「ふせ込んでいきます」
「それで大学を出たら?」
「勿論就職させてもらいますけれど」
それでもという返事でした、大きなオムライスを食べておかわりがきましたがそれもかなりの勢いで食べています。
「まだ就職先は決めていないですし」
「修養科とか考えてるのよね」
「あと講習も」
「本格的ね」
「夏休みなんてどうだい?」
お父さんが阿波野君に笑って言ってきました。
「講習は」
「夏休みですか」
「大学の時のね。それに修養科を出たら」
その笑顔で私をちらりと見てから阿波野君にお話します。
「即座に就職先があるとかね」
「そうなんですか」
「天理教関係はどうだい?」
「はい、極端なブラックでないなら」
それならというのでした。
「お願いします」
「それじゃあね」
「紹介してくれたら」
それでというのです。
「そちらに」
「ブラックじゃないな」
お父さんは笑ってそこは否定しました。
「お金はないかも知れないがちゃんと何でもしてくれる娘がいるからな」
「女の子がですか」
「しかも阿波野君から見たら年上のな」
「あっ、そうですか」
「よかったらどうだい?」
「本当にいいんですか?」
阿波野君はお父さんにかなり本気で言ってきました。
「そうしても」
「いいぞ、最近こうした場所は来てくれる人がいたら」
それならというのです。
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