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戦国異伝供書

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第百十三話 鬼計その七

「その数は相当でじゃ」
「それで、ですか」
「三万はおる」
 敵の数はというのだ。
「それに対してこちらは七千」
「四分の一以下ですな」
「その相手に勝つとなるとな」
 それこそというのだ。
「わしも武器を手にせぬとじゃ」
「勝てませぬか」
「左様、この度の戦は使えるものを全て使い」
 そうしてというのだ。
「戦ってな」
「そして勝つ」
「そうする、だからな」
「兄上もですか」
「刀を手にしてな」
 自ら抜いてというのだ。
「戦ってじゃ」
「そうして勝ちますか」
「そうする、ではよいな」
「はい、それがしもまた」
 小次郎は兄の言葉を聞いて確かな声で述べた。
「戦いまする」
「頼むぞ、この戦に伊達家の全てがかかっておる」
「圧倒的に多い敵にどうして勝つか」
「それで決まる、ではよいな」
「はい、これより」
「戦の場に向かう」
 こう言ってだった、政宗は軍勢を率いてそうして戦の場に向かった。政宗は軍勢を阿武隈川の西に向けていた。
 そして己の軍勢を見て言った。
「この前まで百丁の鉄砲がじゃ」
「今は数百丁です」
「常に造らせ鉄砲鍛冶も増やしてな」
「その結果ですな」
「我等は数百丁の鉄砲を揃えられた」
「これだけの鉄砲を持つ家となりますと」
 片倉もその軍勢を見て言う。
「奥羽ではです」
「他にはないのう」
「はい、関東でもです」
「後は北条家位じゃな」
「あの家は関東の覇者ですから」
 そう呼ばれるだけの力を持っているからだというのだ。
「ですから」
「鉄砲も多いな」
「はい、後は武田家や上杉家がです」
「それだけ持っておるな」
「その数百の鉄砲もですな」
「使う、鉄砲騎馬隊にじゃ」
 切り札である彼等に加えてというのだ。
「さらにな」
「足軽達にもですな」
「鉄砲を持たせてな」
「撃たせますな」
「そうする、そしてな」
「兵の劣勢を補いますな」
「その様にする」
 こう片倉に話した。
「この度の戦ではな」
「敵は四倍以上」
 成実も言ってきた。
「あまりにもです」
「敵は多いな」
「しかも総大将の佐竹殿はかなりの御仁」
「強いな」
「ですから」
 それでというのだ。
「容易な戦ではありませぬ」
「だからじゃ」
「我等はですな」
「数百の鉄砲を使ってな」
「長槍に弓矢も」
「そうして戦う、そしてな」
 政宗は成実にも話した。 
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