八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九十五話 詩織さんの決断その五
「本当に」
「だったらね」
「それじゃあなんだ」
「義和がどうも出来なかったでしょ」
「それはね」
「だからね」
それでというのだ。
「義和は悪くないわよ、というか」
「詩織さんもかな」
「神様の配剤でしょ」
「彼か僕を選ぶか」
「そのことをね」
それをというのだ。
「求められて」
「それでなんだ」
「選んだのよ」
「それで僕はだね」
「私と、ってなったのよ」
「そうなんだね」
「こんなことってやっぱり」
もう誰かの力で今に至った訳じゃないことはというのだ。
「神様の配剤でしょ」
「そうなるんだね」
「というか人と人の運命って絡み合ってるけれど」
その人のことだけでなくだ。
「そんな複雑なことって人間のことじゃないわよ」
「神様のことだね」
「たまたまその人に出会って運命が変わるとかもね」
「あるね」
「お互いにね、それでそこから」
香織さんはさらに話してくれた。
「色々な人の運命が変わるとか」
「確かに人間では出来ないね」
「神様のお仕事でしょ」
「そうだね」
「だから今回のことも」
「こうなる運命だったのかな」
「運命の一つだったので」
それでというのだ。
「詩織が正岡君を選んで」
「今の僕達がこうなったんだね」
「ええ、もう私達がどうこう言っても」
「何にもならない」
「そうしたものでしょ、だからね」
僕にこうも言った。
「私はこうなったことをずるいとはね」
「言わないんだ」
「言ったし思ってたけれど」
くすりと笑って話してくれた。
「今からはね」
「言わないんだね」
「思わないわ」
そうしてくれるというのだ。
「もうね」
「そうなんだね」
「ええ。けれど人のこうしたことってわからないわね」
香織さんは今度はしみじみとした口調で言った。
「神様の配剤だけあって」
「何時どうなるかね」
「誰と会ってね」
「それがわからないんだね」
「ええ」
真剣な顔での言葉だった。
「そう思ったわ」
「そうだね、お引き寄せっていうのは」
ここでも天理教の言葉を出した。
「まさにね」
「神様のすることで」
「これ以上不思議なことはないね」
「そうよね」
「超常現象よりもね」
「幽霊や妖怪よりもね」
「不思議だと思うよ」
「何でも科学で説明がつくっていうわね」
「ああ、その考えはね」
僕が思うにだ。
「この世に万能なものってないからね」
「人間の力だとね」
「だからね」
「科学もなのね」
「科学的根拠は必要でも」
このことは事実でもだ。
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