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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十四話 決断その二

「帰れ」
「そうさせてもらいます」
「人は色々ある」
 コーチは僕にこうも言った。
「バスケをしている時もな」
「あれこれ考えてですね」
「心バスケにあらずの時もな」
 そうした時もというのだ。
「ある、けれどそれでもな」
「気が散っていてもですね」
「バスケはしたいな」
「そう思ってです」
「お前も部活に出たな」
「若しその気がなかったら」
 僕にしてもだ、僕は用事がない限り部活には出ているけれどこれもバスケが好きだからだ。
「出ていないです」
「ならな」
「部活に出ているから」
「走らせたんだよ」
「そうだったんですね」
「バスケも危ないんだ」
 このことはさっき話した通りだ。
「だから気が散ってるとな」
「怪我をしかねないので」
「そうした練習はさせないんだ」
 このコーチはいつもそうしている、部活に出ていてもあまりにも気が散っていて他に何か悩みとかある部員はその日ずっと走らせるのだ。
「けれど走ってたらな」
「それが練習になるからですね」
「そうさせているんだ」
「そういうことですね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「いい運動になっただろ」
「ずっと走ってましたから」
「そうだな、それにずっと走ってな」
 身体を動かしてというのだ。
「気持ちもすっきりしたな」
「その意味もありますね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「悩みがあってもな」
「それでもですね」
「すっきりしてな」
「そのことにもですね」
「あらためてな」
「考えるといいですね」
「そうしろ、その意味でもいつも走らせてるんだ」
 今日の僕みたいな部員はだ。
「人間特にお前等の年代はあれこれ考える」
「悩んだりしますね」
「そんな時はな」
「ずっと走ってですか」
「一旦頭をすっきりさせてな」
 忘れてというのだ。
「あらためてだ」
「考えるといいんですね」
「人間考えてばかりだと煮詰まる、気分転換や忘れることもだ」
「いいってことですね」
「そうだ、じゃあシャワー浴びてな」
「家に帰って」
「それで考えろ、いいな」
「そうさせてもらいます」
「そういうことでな」
 コーチは僕の考えのことは聞かなかった、それで僕もシャワーを浴びて八条荘に帰った。もう頭はすっきりしていた。
 それで僕は八条荘で晩ご飯を食べてシャワーは浴びたけれどまたお風呂に入った、そしてこの日は食堂でビールを飲んでいた。
 するとそこに小野さんが来て僕に声をかけてくれた。
「ビールですか」
「今日はこれ飲んでいます」
 ジョッキで飲みながら答えた。
「こうして」
「ビールも沢山あるので」
「どんどん飲んでいいですね」
「はい、日本のビールです」
「そうですね、日本のビールは」
 それを飲みつつ僕は話した。 
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