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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十三話 一人だけじゃなかったその十一

「戻りましょう」
「そうだね、それじゃあね」
「ええ、これでね」
 僕達は屋上から校舎の中に戻った、それからだった。 
 それぞれクラスで授業を受けた、その後で今度は昼休みに香織さんが前に来た。それで僕に言ってきた。
「一緒に食べない?」
「お昼ご飯だね」
「ええ、どうかしら」
「うん、一人で食べるつもりだったけれど」
 友達の誰とも予定がなくてだ。
「一人より二人の方がいいよね」
「そうでしょ。じゃあね」
「今からね」
「一緒に行きましょう」
 二人で話してだ、僕達は校舎の中庭に出た。冬でも今日は日差しがよくてそれで外に出てもよかった。
 それで一緒に八条荘で貰ったお弁当を開くと。
「今日はフライね」
「うん、小野さんが言うにはね」 
 ご飯とほうれん草のおひたしにミニトマトそしてそのフライがあるお弁当の中身を見つつ隣に座る香織さんに話した。
「これ鱈らしいよ」
「鱈なの」
「そうなんだ」
「それはいいわね」
 香織さんは鱈と聞いて微笑んで言った。
「私鱈好きなのよ」
「そうなんだ」
「北海道でもよく採れて」
「美味しいんだね」
「癖がなくて食べやすいから」
 鱈はそうした魚だ、だからムニエルにしてもお鍋にしても美味しい。
「好きなのよ」
「じゃあ今日は嬉しいね」
「かなりね」
 僕に笑顔で話してくれた。
「小野さんのお料理は凄いし」
「八条家の料理人さんだからね」
「八条家って美食家多いのよね」
「贅沢じゃないけれど」
 確かに暮らしは世界的な企業グループの経営家だけはあるもけれどそんな無茶苦茶な贅沢は誰もしない。
「美味しいものはね」
「好きよね」
「そうなんだ」
 これがだ。
「皆ね」
「だから料理人の人腕いいのね」
「その料理人の人達の中でも」
 僕は思うにだ。
「小野さんはね」
「かなりのものね」
「そう思うよ」
 実際にだ。
「本当にね」
「そうなのね」
「八条家のお料理はメニュー自体は普通なんだよね」
「食材や調味料もよね」
「そんなに滅茶苦茶高いものはね」
「使わないわね」
「それで設備もね」 
 キッチンのそれもだ。
「あくまでね」
「普通よね」
「極端な贅沢はね」
 これは食べることだけでなく住むところも服もだ。
「しないんだ」
「質素なの」
「質素かっているとそうでもないね」
 確かに極端な贅沢はしないけれどだ。
「ご本家のお屋敷凄いし」
「宮殿みたいな」
「うん、そうしたね」
 正直ベルサイユ宮殿にも負けていないと思う、建物だけでなくお庭も立派だ。 
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