夢幻水滸伝
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第百六十六話 想定していないことその八
「ここに刻んだ葱とからし、たれも入れて」
「食おうな」
「というか納豆だけでも充分ご飯食べられるな」
「それはな、けどな」
「あえてやな」
「麻友ちゃんは納豆も出してくれたんや」
こちらもというのだ。
「明日に備えてな」
「栄養摂る為か」
「それでな、あと漬物もな」
見れば梅干しに沢庵、胡瓜や茄子それに青菜のそれがある。
「食べるで」
「そうするな」
「お味噌汁もあるし」
綾乃は今度は味噌汁を見て笑顔で話した、中には大根に人参、里芋、じゃが芋等が入っている。具沢山のものである。
「豪勢やね」
「天婦羅もな」
「そうそう、これがメインやね」
「そやで、この天婦羅もな」
芥川はからっと揚げられたそれの話もした。
「土佐の海で獲れたもんで」
「美味しいんやね」
「絶対にな、これを食べて」
そしてというのだ。
「贅沢にな」
「楽しむんやね」
「贅沢ってあれやな」
中里も笑って言う。
「自分が楽しめる」
「そやろな、それでな」
「贅沢やな」
「満足出来たらな」
それでというのだ。
「そうなるんやろな」
「そういうことやな」
「別にルイ十四世みたいな生活せんでも」
太陽王と呼ばれたこの王の様にというのだ。
「それでもな」
「やっていけるんやな」
「そや」
だからだというのだ。
「こうしてな」
「そういうことやな」
「そや、別にな」
これといってというのだ。
「ご馳走食ったりええもん着たり宮殿に住んだり」
「そういうもんやないな」
「さっき言うたルイ十四世はそやったが」
「あれだけが贅沢やないか」
「いつもお庭でくつろげて」
そしてというのだ。
「悠々自適な生活も贅沢やろ」
「ああ、ゆったりしたな」
「それで満足出来たらな」
「贅沢やな」
「そや、それでな」
芥川はさらに話した。
「その贅沢をな」
「今の僕等もやな」
「贅沢や、それで贅沢を楽しんで」
「よお寝てやな」
「戦やがもう一つ楽しむ贅沢あるで」
芥川はこうも言った。
「風呂にも入るんや」
「それで身体奇麗にするか」
「戦の前は身を清める」
「そうした習わしもあるな」
「それもしてな」
「明日の戦やな」
「今連合は警戒してる」
それでというのだ。
「それで多分交代で休んでるけどな」
「一晩中警戒してやな」
「軍勢全体はかなり疲れる」
「その疲れさせることも策やしな」
「ええ流れや」
「敵を出来る限り不利な状況に置くんやな」
「遠路はるばる来させてな」
そのうえでというのだ。
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