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ヘタリア大帝国

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TURN46 王女アルビルダその七

「で、とにかくな」
「俺に力を貸して欲しい、か」
「報酬は好きなものを言ってくれ」
 イギリスは大盤振る舞いに出た。それだけ切羽詰っているからこそ。
「女王さん関連以外でな」
「ああ、あの人達以外だな」
「金でも宝物でもな」
 何でもいいと言うイギリスだった。
「好きなの言ってくれ」
「どっちもあるからな」
 ゴローンは金持ちらしい返事で返した。
「そういうのはいらないんだよ」
「あっ、そうなのか」
「好きなのはその金で買えるからな」
 これまで通り自分の趣味を満喫できるというのだ。
「そういうのはいらないな」
「じゃあ何が欲しいんだ?」
「ああ、そっちのクリオネさんな」
 ゴローンはクリオネを見て言った。
「あんたスタイルいいよな」
「これでも美容には気を使ってるのよ」
 クリオネは少しきっとなってゴローンに返した。
「運動も欠かさないしエステにサウナもね」
「努力してるんだな」
「女は三十からよ」 
 自分から年齢も言う。
「まだまだこれからなんだから」
「結構苦労してるんだな」
「悪い?会社は潰れたし散々よ」
 自分からこのことも言う。
「落ち込みまくってるわよ」
「大変だな。それであんたにな」
「私に?」
「コスプレしてもらったらいいな」
 ゴローンはそのクリオネをじっと見ながら話す。
「丁度色々服も集めてたんだよ」
「コスプレ!?」
「色々持ってるんだよ。それを着てな」
「まさか、それで」
 クリオネは雷に打たれた様な驚愕の顔になってゴローンに言い返した。その仕草もかなり引いたものになっている。
「私に着せてそれから」
「着せてみせてくれるか?」
 クリオネの危惧は彼女にとって幸いなことに外れた。ゴローンが彼女に求めたのはここまでだったのである。
「そうしてくれるか?」
「着るだけでいいの?」
「服は何の為にあるんだよ」
 これがゴローンの返事だった。
「他にないだろ」
「それはそうだけれど」
「じゃあ着てくれるか」
「それで私達に協力してくれるのね」
「魔術師は嘘吐かないんだよ」
 ゴローンは強い声で答えた。
「だから安心しろ」
「そう。それでその服は」
「これだよ」
 ゴローンは早速その服を出してきた。それはオレンジでやけに生地の面積が少ない服だった。腕は肩までしかなくスカートもかなり短かい。
 ゴローンはその服をクリオネに見せて熱く語る。
「いいだろ、日本のアニメの服だよ」
「貴方日本のヲタク文化にはまってるそうだけれど」
「日本は最高だぜ」
 一応エイリスの植民地にいるがゴローンは日本への想いを隠さない。
「こんな素晴らしいものが売ってるんだからな」
「私その日本に財産の殆どを獲られたんだけれど」
 クリオネは憮然とした顔でゴローンにこのことを話した。
「東インド会社破産したのよ」
「潰れてもまた再建すればいいだろ」
「簡単に言ってくれるわね」
「けれどその通りだよ」
「ええ。それは考えているけれどね」
 だがそれでも落ち込んでいないと言えば嘘になるのだ。今のクリオネにとっては。
 
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