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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十三話 一人だけじゃなかったその一

               第二百九十三話  一人だけじゃなかった
 僕は詩織さんとは血がつながっていないことがわかった、このことは本当によかったと詩織さんと共に思った。
 だがこのことは畑中さんに聞くとだった。
「当然のことです、止様はです」
「遊んでもですね」
「奥様以外の方とはです」
「子供は作らないですね」
「そうした方ですから」
 だからだというのだ。
「まことにです」
「絶対にですね」
「義和様と詩織様がご兄妹ということは」
 それはというのだ。
「有り得ないです」
「そうなんですね」
「責任感もおありなので」
「そうなんですよね」
 いい加減な様に見えてだ。
「これが」
「ですから」
 そうした人だからというのだ。
「私はです」
「最初からですか」
「それはないとです」
 その様にというのだ。
「確信していました」
「僕も結局まさかと思っていましたが」
「信じておられましたね」
「無茶苦茶でも筋は通しますからね」
 人としてのそれはだ。
「親父は」
「はい、ですから」
「いいんですよね」
「それが傾いているということです」
「例え無茶苦茶な人生でも筋は通す」
「守るべきことは守り」
「人の道を踏み外さないことですね」
 僕はあらためて言った。
「それが大事で」
「止様はものごころついた頃からです」
「そうした人ですね」
「盗みはすれど非道はせずといいますが」
 白波五人男の日本駄右衛門の言葉だ、千人いる盗賊達の首領であり五人男の頭でもある人物である。
「止様は盗みもです」
「しないですね」
「遊びであり」
「その遊びの中で、ですね」
「非道はされないです」
「それが親父ですね」
「ですから」
 それでというのだ。
「そうしたこともです」
「絶対にしないですね」
「そうです、間違っても」
「幾ら酔っても暴れたりしないですし」
 裸になったり絡んだりもしない、酔っても余計に明るくなるだけだ。
「本当に筋は通しますね」
「そうした方ですから」
「よそに子供は作らないですね」
「はい、あの方は」
「そうですね、浮気はいつもでも」
 お袋もそれは受け入れている、考えてみればお袋も凄い。
「愛人はいないですね」
「かつてはお妾さんといいましたね」
「二号さんとも」
「そうしたお相手の方もです」
「親父はいないですね」
「よくあるお話ですが」
 こうした話はだ。
「今も」
「ですね、愛人とかは」
「持っておられる方もおられますね」
「有名人でも」
「昔は地位のある方なら」
 政界や財界の有力者ならだ、地主さんだったり大学の教授でもそうだが地位があればそうした話は本当にだった。 
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