夢幻水滸伝
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第百六十五話 直前の軍議その六
「今回もな」
「そうするんやね」
「僕等はな」
「しかし戦といっても随分違いますね」
正宗がここでこう言った。
「それぞれ」
「戦う場所、気候、相手が違うと」
田中が正宗のその言葉に応えた。
「全く違うので」
「同じ移動要塞を使った戦でも」
「ほんまにちゃうな」
「それぞれの戦で」
「それで今度の戦は」
どうかとだ、田中は正宗に話した。
「どうした戦か」
「それが問題で」
「今回は相手を疲れさせたうえでの正攻法で」
「それに一騎打ちに出る星の人が多い」
「自分も僕もやからな」
「そこが問題だね」
「どうにも」
「これまでは一騎打ち出るのは多くて二十人」
千歳はその一騎打ちの話をした。
「残りの星の人は全員軍勢同士の戦に出たけれど」
「それでもだね」
尾崎がその千歳に応えた。
「今回は四十人の星の人が出るからね」
「最初から軍勢に出せる星の人は少ないわ」
「それが問題だね」
「本当にね」
こうしたことを話していた、そしてだった。
千歳はあらためてだった、尾崎に話した。
「そのことが問題ね」
「うん、それを補う形で神星の二人の人が加わってくれるけれど」
それでもというのだ。
「そのことが辛いことはね」
「事実だから」
「本当にね」
「それは承知のうえや」
強い声でだ、芥川は二人に話した。
「そのうえでや」
「攻めるんですね」
「そや」
まさにというのだ。
「そうしてや」
「そのうえで、ですね」
「そしてや」
そのうえで、とだ。芥川は正宗に話した。
「勝つんや」
「ほな棟梁さんと芥川さんは、ですか」
「今度の戦では思いきり戦うで」
「わかりました」
是非にと言うのだった。
「そうして下さい」
「ああ、全力で采配振るってな」
「ご自身もですね」
「戦って」
そしてというのだ。
「勝つわ」
「そうされますか」
「ああ、そやからな」
だからだというのだ。
「これまで色々考えてな」
「仕込んできたのですね」
「そや」
まさにというのだ。
「そうしてや」
「これからはですね」
「その仕込んできたことを実現させるんや」
「そうしますか」
「勝つ為にな」
はっきりとした言葉であった。
「そうしてきたしな」
「それで、ですね」
「実際にそう動く、ただな」
芥川はこうも言った。
「戦場は常に動く」
「それな」
まさにとだ、中里は言った。
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