八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九十二話 行く場所その十一
「絶対に」
「そうですよね」
「自衛隊や警察の力は武力であり」
「理性があってですね」
「国家や国民を守る力です」
それが武力だというのだ。
「法律、それに理性」
「その二つで制御されている」
「確かな力であり」
「何かを守る力ですね」
「そうです、それが当時の警察もです」
「備えていましたか」
「はい、彼等が嫌っていた」
学生運動の運動家達が政府の犬だの当局だの言っていた人達だ。
「警察でしたし自衛隊もです」
「同じでしたね」
「彼等は自衛隊も嫌っていました」
「憲法違反とか言って」
「平和憲法に反すると」
運動家達は皆護憲派だった、平和憲法を死守すると言っていた。
「そう言って」
「それで軍国主義とかですね」
「言っていましたが」
「自衛隊もですね」
「やはりです」
「武力を持つ組織であり」
「彼等の暴力とはです」
運動家達とのそれとはというのだ。
「間違ってもです」
「同じではないですね」
「はい」
僕に答えてくれた。
「間違いなく」
「そうでしたね」
「何が総括か」
畑中さんの言葉は全否定だった。
「革命か、彼等はごっこをしてです」
「その中で暴力を振るってですね」
「ゲパルトアズホスヌングと言って」
ドイツ語だ、このゲバルトという言葉はゲバ棒の語源だ。
「そうしてです」
「暴れていただけですね」
「デモをしても」
それでもだ。
「棒を持って暴れればです」
「平和的でもないですね」
「まさに暴力です」
「それになりますね」
「そして機動隊に襲い掛かるのですから」
「襲い掛かる必要もなかったですね」
「日本は言うまでもなく当時も法治国家でした」
間違ってもモヒカンがバイクで暴れ回っている社会ではなかった。
「そうした社会でしたから」
「社会を変えたいならですね」
「彼等の言う平和で階級のない社会を実現したいなら」
そう言って暴れているから本末転倒だ。
「自分達の考え、政策を理路整然と主張してです」
「世に訴えることですね」
「同じ考えの政治家を支持するか」
「立候補してもらって」
「そしてです」
「選挙に行けばいいですね」
「そして投票すればよかったのです」
ここまで淡々と話してくれた。
「ただそれだけでした」
「そうだったんですね」
「はい、ですが」
「それをですね」
「彼等は暴力に走りました」
「主張はしましたね」
「ですがその後がです」
やはり否定の言葉だった。
「日本は今にも反動するなぞ言って」
「革命だって言って」
「暴力を振るいました」
「そうなったんですね」
「猿よりも愚かな者達でした、いえ」
「いえっていいますと」
「猿と比べると猿に失礼でした」
この生きものにというのだ。
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