ドレッドノート
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三章
「これまでの艦を一気に古いものにした」
「まさにそうしました」
「左右に副砲を置き艦橋の小さい船なぞです」
「こう過去の遺物です」
「その様にしました」
「副砲が左右両舷にあるとだ」
皇帝はこれまでの艦艇の話もした。
「攻撃もな」
「左右どちらかしか出来ず」
「右舷にある砲は右にしか攻撃出来ません」
「左舷にあるなら左です」
「片方にしか攻撃出来ません」
「そうだ、だからだ」
皇帝はこれまでの艦艇のその姿のことをさらに話した。
「トラファルガーでもだ」
「ネルソン提督はあえて切り込みました」
「三列縦隊になり」
「そして敵軍をそろぞれ分断し左右にいる敵軍を攻撃しました」
「そうして勝ちました」
その様にしてフランスとスペインの連合艦隊に勝利を収めた、これはイギリス海軍の練度と戦意も大きく影響した。
「そうしましたが」
「左右に攻撃を受けますと」
「大砲の損傷を受けやすく」
「そこから艦艇自体が大きなダメージを受けました」
「それが弱点でした」
「その弱点の両舷の砲がなくだ」
皇帝は再び話した。
「しかもだ」
「はい、あの艦はです」
「そのドレッドノートですが」
「両舷に主砲を全て使えます」
「あの連装の砲塔を」
「左右両舷を意識せずともいいです」
「どちらにも使えますし」
それにとだ、側近達も話した。
「防御力も高いです」
「左右に剥き出しに近い大砲が多くあるよりも」
「ああして砲塔になっている大砲ばかりですと」
「しかも主砲の数がこれまでの艦より桁外れに多いですし」
「指揮も違います」
このこともあるというのだ。
「これまではあそこまで高い艦橋はなかったです」
「高みから艦全体を見回せるまでとは」
「しかも艦橋に指揮系統を集中させています」
「あの塔の様な艦橋に」
そうしているというのだ。
「これまでは艦の指揮はある程度分散していました」
「その為指示が末端まで伝わることに時間がかかり」
「現場の士官の指示に頼ることも多かったです」
「艦長の指示が現場に満足に渡るかどうかもわかりませんでした」
「ですが」
ドレッドノートはというと。
ページ上へ戻る