八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九十一話 最初の決意その十二
「殺されてるし」
「それで同情する人もいないんだね」
「自業自得だってね」
その様にだ。
「思ってる人多いみたいだよ」
「人気ないことは間違いないね」
「それはね」
実際にだ。
「伝え聞く行いを読むとね」
「それも当然だね」
「織田信長さんも批判していたから」
自分が奉じている室町幕府最後の将軍である足利義昭さんを諫めた時のことだ。
「暴君だっていう風にね」
「そうだったんだ」
「まあ信長さんもそう言うからにはね」
「絶対に義教さんよりはだね」
「暴虐じゃなくて」
それでだ。
「あそこまではね」
「酷くなかったね」
「義教さんよりはね」
「今お話した通りに」
「うん、この人は暴君だったよ」
紛れもなくだ。
「けれど他はね」
「これといってなんだ」
「いないと思うよ」
日本の歴史上においてだ。
「藩主の人でもね」
「そうだね」
「まあ島原の乱はね」
江戸時代初期のそれはだ。
「酷い藩主でね」
「起こったね」
「もう民に重税を課して」
またその重税があんまりだった。
「それで起こったから」
「暴君だね」
「そう言っていいね」
松倉家の殿様だった。
「それでもこの人この乱が罪になってね」
「処刑されてるんだったね」
「斬首だったよ」
切腹でなくだ。
「それで処刑されているよ」
「そうだったんだね」
「欧州では斬首は身分の高い人の為の処刑らしいけれど」
苦しまずに死ねるからだ、縛り首とかは苦しんで死ぬのでこうはいかない。しかも欧州は縛り首ですら物凄く優しい処刑方法が山程あることはさっき話した通りだ。
「日本じゃね」
「切腹がだね」
「身分の高い人のもので」
「自害することが名誉だね」
「そうした考えで」
それでだ。
「武士は相当な大罪でもないとね」
「切腹だね」
「それで処刑となっていたんだ」
もっと言えば処刑ではない、切腹は。
「自害だからね」
「それが武士だね」
「だから忠臣蔵でもね」
「四十七士切腹したんだね」
「江戸市中で刀抜いて人殺したけれど」
考えてみればこの時点で処罰される、江戸市中で刀を抜くことは絶対の御法度だったからだ。
「それでも幕府も大石さん達の名誉を立ててね」
「切腹になったんだね」
「浅野内匠頭さんもね」
ただこの人は屋外で切腹させられている、大名は屋内でなのでこれもおかしいというのだ。
「そうなったんだよ、けれどね」
「島原の乱だと」
「うん、もうね」
それこそだ。
「大乱だったしその原因が悪政だったから」
「それでだったんだ」
「斬首になったんだ」
「切腹じゃなくて」
「大名どころか武士の名誉もなしになってね」
「そうだったんだね」
「日本じゃ斬首は身分の低い人か大罪人への処刑で」
それでだ。
「それになったんだ」
「暴君の結末だね」
「うん、こんな人もいたけれど」
「全体から見れば少ないね」
「そう思うよ」
特に江戸時代はだ。
「有り難いことに」
「そのことはいいことだね」
「そうだね」
「そのことも含めて僕は日本が好きだよ」
「暴君が少ないことも」
「血生臭い話が極端に少ないこともね」
僕に笑顔で話してくれた。
「それでクリスマスの楽しみ方もね」
「他の国とは違っても」
「いいと思うよ、じゃあ楽しんできてね」
「そうさせてもらうよ」
僕はカタヤイネン君に笑顔で答えた、そのうえで神戸のクリスマスのスポットを調べ続けた。まずはそこからだった。
第二百九十一話 完
2020・7・8
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