八条学園騒動記
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第五百八十五話 徹底してその二
「いけないしですし」
「その子にですか」
「はい」
まさにというのだ。
「そのことを忘れますと」
「その子が困りますね」
「ですから」
それ故にというのだ。
「このこともです」
「絶対ですね」
「命があるなら食べないと」
そうしなければというのだ。
「いけないですね」
「だからご飯もですか」
「忘れていません」
ドードー鳥を見つつ笑顔で話した。
「絶対に」
「左様ですね」
「何があっても。まして」
「まして?」
「ドードー鳥はです」
この鳥はというと。
「地球ではです」
「ああ、その鳥は」
その先生も知っていた。
「確かに」
「モーリシャス諸島にいましたが」
それでもだったのだ。
「この姿です」
「飛べないですね」
「そして歩くのも遅いです」
「そうですね」
「この太った体型で」
飛べず足も遅くというのだ。
「そして陸地で暮らしていて」
「木の上にも上がれない」
「ですから」
そうした習性でというのだ。
「もうです」
「人間に発見させて」
「絶滅しました」
「そうでしたね」
「人間に狩られ」
その手で捕まえられるまでに簡単だったという、棒で殴り殺すことも実に容易であったと言われている。
「人間が連れて来た犬に襲われ」
「成鳥も雛も」
「そうでしたね」
「簡単に襲われたとか」
「そう言われていますね」
「そして鼠にも」
船に乗ってやってきたのだ、人と共に。
「卵を襲われ」
「そうしてでしたね」
「絶滅しました」
「そうでしたね」
「はい、それでです」
「地球からいなくなりましたね」
「そうした歴史があり」
ロシュフォール先生はその先生にこのことを話した。
「人類は宇宙に出てです」
「他の星にいたドードー鳥と再会した」
「そうなりました」
「それはオオウミガラスと同じですね」
「他の多くの生物と同じく」
「そうでしたね」
「そのことも頭にあり」
それでというのだ。
「私はこの鳥をいつも意識しています」
「人類の過ちですか」
「多くの種を滅ぼしてしまった」
人類のその歴史の中でだ。
「このことも思いつつです」
「その子と共にいますか」
「そうです」
「成程、ただのご家族ではないのですね」
「パートナーであり」
それと共にというのだ。
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