八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百九十話 鑑定の結果その九
「相手も開けていい扉ならな」
「開けるんだ」
「もう話したくない、辛いことはこうしてもな」
「言わないんだ」
「自分で扉に鍵をかけてな」
そうしてというのだ。
「言わないんだよ」
「カマをかけても」
「それで言わないならな」
「もうそれでだね」
「ああ、聞かないことさ」
「人を傷付けない為だね」
「若しそれを知っていて言えばな」
相手が閉ざしていることをだ。
「もうその相手に一生恨まれることもあるからな」
「人の心を傷付けるとだね」
「言うなよ、特に恋愛のことはな」
「言わないことだね」
「とりわけ失恋のことはな」
恋愛のことも中でもというのだ。
「凄く傷付いていることも多いしな」
「それを言ったら」
「軽い気持ちでもそうしたらな」
「恨まれるんだね」
「一生な」
それこそというのだ。
「だから言うなよ」
「そういうことだね」
「カマのかけ方も注意しろよ」
「相手を傷付けない様に」
「間違っても相手のトラウマをわかって言うな」
「それはもう意地悪だね」
「本当に失恋のことを言うとな」
その相手のだ。
「言われた方は言われたその瞬間にお前に絶対に心を閉ざすぞ」
「それは確実にっていう意味だけじゃないよね」
絶対という言葉も色々な意味がある、確実という場合もあれば他の意味もあるのだ。その他の意味はというと。
「もう僕に何があってもだね」
「心を許さない、信用しなくなる」
「そうなるね」
「だからな」
それでというのだ。
「気をつけろよ」
「本当に人の失恋のことは言うな、だね」
「俺はそれを笑いながら言って一生恨まれてる奴を知ってるんだ」
実際にというのだ。
「本当にな」
「一生なんだ」
「そうした絶対の意味もあるんだよ」
永遠にという意味もあるのだ、この言葉には。
「自分が軽い気持ちでからかう感じで言って」
「その人に信用されなくなってずっと恨まれてだね」
「許されない、そんなの嫌だろ」
「誰だってそうだよね」
どんな相手にも恨まれたくないものだ、それが何時自分にどういった形で返って来るかわかったものではない。
「普通の人は」
「だから言うなよ」
「カマのかけ方も色々だね」
「絶対に意地悪で言うな」
「それは絶対だね」
「ああ、それはいいな」
「それじゃあね」
「それとな」
親父は僕にさらに言ってきた。
「本題だがな」
「うん、女の子のことだね」
「それな、クリスマスだからな」
親父がまたカマをかけてきたことがわかった、その辺りの手際は親父ならではの技量だと僕は心の中で思った。
「告白されて受けようかって思ってるんだな」
「うん、実はね」
「それで悩んでるな」
「告白を受けていいかどうかね」
「その時はあれだ」
「あれっていうと」
「もう悩むなら受けろ」
親父の返答はシンプルなものだった。
「いいな」
「受けるべきなんだ」
「告白されて嫌ならその場で断ってるさ」
「そうなんだ」
「それが遊びなら別だけれどな」
「そうしたものなんだね」
「けれどお前は女遊びはしないだろ」
僕にこのことも言ってきた。
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