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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百九十話 鑑定の結果その八

「だからね」
「それでなのね」
「断るなら断るし」
 二人共にだ。
「選ぶならね」
「どちらかをなのね」
「真剣に選んで」
 そしてだ。
「場所もね」
「選ぶのね」
「そうさせてもらうよ」
 香織さんに強い声で話した。
「安心してね」
「ええ、じゃあ」
「それで詩織さん自身には」
「詳しく話すわ」
「香織さん自身が」
「こうしたことは隠さないで」
 そうしてというのだ。
「正面からね」
「ぶつかるんだ」
「恋愛は闘いじゃないと思うけれど」
 それでもというのだ。
「卑怯なことはしたくないから」
「それでなんだ」
「詩織にも言って」
 そしてというのだ。
「義和に選んでもらうわ」
「香織さんは凄いね」
 僕はここまで聞いて香織さんにこう告げた。
「本当に」
「そうかしら」
「そうしたこと言えて実行しようって人は凄いよ」
 心からそう思う。
「だからね」
「私は凄いのね」
「そう思うよ、じゃあ」
「ええ、宜しくね」
「わかったよ」
 香織さんに確かな声で答えた、そしてだった。
 香織さんとのお話が終わった後で一人になったところで書斎で考え込んだ。そしてその後でだった。
 僕は香織さんも詩織さんも嫌いではないむしろ好きであることがわかった。それでクリスマスの場所を選ぶことにした。
 だがそれでもだ、香織さんか詩織さんか。二人のうちどちらかを選ぶとなるとこれは本当に辛かった。
 僕は悩んだ、二人のことは嫌いではない、むしろ好きでだ。
 そのことが恋愛感情になるかも見極めようとした、だが。
 そう考えている時に携帯が鳴った、見れば番号は親父のものでその親父に対して眉を曇らせて言った。
「何かな」
「ああ、やっぱりな」
「やっぱり?」
「何かお前が機嫌悪いだろうと思ってな」
「電話かけたんだ」
「そうだったんだよ」
 こう僕に言ってきた。
「実はな」
「そうだったんだ」
「ああ、その通りだったな」
「まあね」
「あれか。女の子のことで悩んでるんだな」
「どうしてそう言えるのかな」
「そうだったか?これはカマかけたんだよ」
 電話の向こうの親父は相変わらずの調子だった。
「お前から話を聞き出す為にな」
「それで言ったんだ」
「けれどそうだったみたいだな」
「相変わらずそうしたこと上手だね」
「鍵の開け方には工夫があるんだよ」
 親父は今度はこう言った。
「人の心のそれはな」
「そうしたものなんだ」
「迂闊に開けたら駄目な場合もあるけれどな」
 それでもというのだ。
「カマかけるならな」
「それならなんだ」
「ああ、もうな」
 それこそというのだ。 
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