八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百八十九話 ワインの後でその十
「そうなっていきました」
「まともな店員さんを採用してですね」
「しっかりと教育しないとです」
「お店も潰れますか」
「左様です」
「それは何処でもですけれど」
「大阪ではまことに顕著です」
このことがというのだ。
「私はそうしたことも見てきました」
「人生の勉強の一つですね」
「私もそうはなるまいとです」
「そうした店員みたいにですね」
「務めているつもりです」
「僕もそうします、というかお客さん睨んだりしたら」
もうそれこそだ。
「絶対にまともな教育してないですね」
「そして睨まれた人は二度と来ないですね」
「そうなりますよね」
もう誰が来るかとなってだ。
「絶対に」
「客足も遠のきますので」
「人はどうかですね」
「幾ら品揃えがよくても」
そのお店がだ。
「そうした店員ではです」
「人は来ないですね」
「左様です、そして八条家もそこはしっかりしていますね」
「よく言われます」
家の中の教育でだ。
「八条家は客商売をしていると」
「どの企業もそうですね」
「グループ全体が」
「左様です、お店の一件一件もです」
「そうした店員がいないことですね」
「それは経営を預かる八条家の方々がです」
僕もその一員だ、世界的な企業グループを経営しているといっても何かあればすぐに傾くのが世の中だ。
「まずです」
「ちゃんとしないといけないですね」
「トップが悪いとです」
「社員の人達もどうかとなりますね」
「日本軍は最近まで色々言われていましたが」
「変な人が将官にいてもでしたね」
「あくまで僅かで」
その僅かな人が目立ったところにいたのが問題にしてもだ。
「大抵の方は健全でした」
「それで能力もありましたね」
「あの東条英機首相もです」
「実際は無能とまでいきませんでしたしね」
「悪事を働く人ではありませんでした」
間違ってもだった、あの人は。
「金銭にも女性にも清潔で武器を持たない人には一切手出しをしない」
「そうした人だったそうでしたね」
「そして忠義の人でした」
昭和天皇そして日本に対してだ。
「二心は全くありませんでした」
「真面目な人でしたね」
「はい、車の運転手の様な人にも優しく」
社会的地位の低い人をいじめる人でもなかったのだ。
「健全な人でした」
「言うなら事務処理型軍人ですね」
「憲兵隊の様な」
「実際憲兵隊使っていましたし」
「権力欲はあっても」
これはあったと思う。
「節度のある人でした」
「何か首相になるつもりなかったとか」
「そうでした、非道もされず」
「残虐な命令や無茶な命令も出しませんでしたね」
「非常に常識ある人でした」
それが素顔の東条英機だったのだ。
「悪人ではなかったです」
「こうした人はトップでもよかったですね」
「自衛隊なら統合幕僚議長として」
即ち自衛隊の制服組のトップだ、何でも他の国の軍隊では元帥と言っていいまでの地位にあるという。
「よい自衛官と言われていたでしょう」
「そうした人だったんですね」
「時代が悪かったのです」
「それでああなってですね」
「あの様に言われていました」
「極悪人扱いでしたね」
「実際はかなり違いましたが」
畑中さんの声は遠いものになっていた。
「その様にです」
「そうでしたか」
「はい、ですがこうした健全な人がトップで」
「日本軍もですね」
「最後まで健全でした」
確かに問題点は多かったけれどだ。
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