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新オズのつぎはぎ娘

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第十二幕その十一

「それも何とも思っていないから」
「別に?」
「あたしとしてはね」
「歌が出なくても」
「そうよ、まあ毎日一曲は出るけれど」
 それでもというのです。
「だってこれはあたしの趣味でかつ自然に出るものだから」
「こだわらないんだ」
「そうよ、別にね」
「成程ね」
「そういうことよ」
「それが貴女よね」
 ドロシーもつぎはぎ娘に笑顔で声をかけます。
「こだわらない、もう気の向くままにね」
「好きなことをするのよ」
「そうよね、それが皆の迷惑にならないし」
「いいでしょ」
「そのこともね」
「それでこのパーティーの後はどうするの?」 
 つぎはぎ娘はドロシーに尋ねました。
「一体」
「そのことね」
「どうするの?」
「その後は同じ道を帰ってね」
「そうして都まで戻るのね」
「そうするつもりよ」
 こうつぎはぎ娘に答えます。
「別に急がないし」
「そう、それじゃあね」
「ええ、帰りはそうして帰りましょう」
「じゃあ僕はその途中でね」
「お家の近くに着いたらお別れするよ」
 ピーターはドロシーのお話を聞いて二つの頭で言いました。
「そしてまたね」
「機会があったら楽しもうね」
「ええ、けれどその時まではね」
 ドロシーはピーターのその言葉に笑顔で応えました。
「一緒にいましょう」
「そうしようね」
「その時までは」
「是非ね、しかし」 
 ここでこうも言ったドロシーでした。
「今は皆でパーティーを楽しみましょう」
「そういえばね」
 またつぎはぎ娘が言ってきました。
「あたし今回の冒険自体の歌は出してないわね」
「そういえばそうね」
「冒険は帰るまでが冒険だけれど」
 それでもというのです。
「ここで歌っていいかしら」
「ええ、いいわよ」
「じゃあね、今からね」
「今回の冒険の歌を歌うのね」
「そして踊るわ、じゃあ皆観てね」
 そこにいる皆にも言います。
「これから歌って踊るわね」
「そうしてね、貴女の歌とダンスを観られることもとても幸せなことだから」
 ドロシーはそのつぎはぎ娘に声を贈りました。
「是非ね」
「ええ、歌わせてもらうわね」
「これからね」 
 ドロシーが言うとでした、すぐにです。
 つぎはぎ娘は今回の冒険の歌を歌いダンスを踊りました、皆はそれを観て楽しみ彼女に拍手喝さいを贈りました、そうして今回の冒険のことを心から楽しいものだと思うのでした。その素晴らしい歌とダンスも観て。


新オズのつぎはぎ娘   完


                   2020・3・11 
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