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あつまれおおかみたちの森 ~南の島に流れ着いた俺が可愛いどうぶつたちとまったりスローライフを目指す話~

作者:和泉書房
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はじめましてなんだも!(10/02追加)

 
前書き
村にたどり着いたは良いけれど、さてどうしたものか困り果てた二人。そんな二人の前に一人(一匹?)の狸の村人が現れます。これでようやくこの島が何なのか教えてもらえるかも?無人島生活は続きます。 

 
突如現れた狸に俺たち二入はいささか驚いた。

「二足歩行で歩き、会話ができる動物」という存在。

その存在自体不思議の極みだが、最早それで驚くことはない。

この狸が俺たちに与えた衝撃はもっと別のところにあった。

「えーと、君がトレバー君?」

その狸はトレバーを指さし尋ねる。

「それで、隣の君は・・・。日本人?あれ?日本人は聞いてないな?その・・・昨日の事故で無事だったのはトレバー君だけって聞いていたんでね。まぁ・・・いいか。」


この狸は俺たちについて知っている!?そして昨晩の取引についても!?どういう訳か分からないが、少なくともこの狸は今までの他の動物とは何かが明らかに違う!そもそもまともに会話が出来るってだけでも今までの奴らと違うのだが、それ以前にこちらの素性を把握しているようだ。得体の知れない生き物に対する恐怖。それにそんな奴らに自分たちの身辺が知られているという恐怖が新たに加わった。一体何者なんだ?疑問に思ったことを口にしようとした瞬間、すかさずトレバーが懐からマグナムを抜き出して、銃口をこの狸に向け口を開く。

「ほおう。ようやく話が通じる奴が出てきたじゃねぇかぁ。」

恐らくトレバーなりの防衛本能なのだろう。武器を突き付けてゆっくりと語りかける。この狸が敵か味方か、当然俺にはわからないが、しかしこの島についてまともに教えてくれそうなやつがコイツしかいないんじゃねえか?まあそんな不安もあったので、さすがに殺しちゃまずいぞとトレバーを止めようとした。その時である。

「その割にあまりお話をするような態度じゃないんだもね。」

その狸は実に冷静に答えた。

「僕まで殺しちゃうと、いよいよ君を雇った三合会の連中が君を殺しにこの島まで来ちゃうけどいいんだなもか?」


三合会。


横文字にして「トライアド」なんて呼ばれたりもするが、要は中国のマフィア・ヤクザの一般的な呼び方だ。俺も日本では似たようなものなので、過去何度か大陸のそんな連中に会ったことはある。とはいえ、人間の言葉を話す狸のチャイニーズマフィアなんて聞いたことないぞ。狸の化け物の口からまさかこんな突拍子もない話が出てくるとは、いよいよ理解が追い付かない。



ところが、ここにきて、トレバーが止まった。



眼だけやや驚いたような表情を見せ、

「けっ!よりにもよってこの狸が、あの中国人のチンピラの仲間ってかぁ?!」

そう吐き捨てて、その銃口を下した。どうもトレバーには心当たりがあるらしい。

「そもそも、この島は何だ? あんたら何モンだ?人間なのか、動物なのか?なんで俺たちのことを知っている?!」

俺はここにきて色々溜まっていたことを矢継ぎ早に聞く。

「そうそういっぺんに聞かれても困るんだなも。ていうか答える義理も無いんだなも。それよりトレバーくんよ。大部派手にやってくれたんだなもねぇ。」

派手にやったというか、何匹か殺してるんだが・・・。というかこの狸は同族がメッタ殺しに遭ってるのにやけに冷静だな。仲間?を殺されたことに対してもうちょっと狼狽えるとかあっても良いと思うのだが・・・。

「なんなら直ぐに君の雇い主に連絡しても良いんだなもよ?連中にこの島を襲撃させることなんて造作のないことなんだも。まぁ、そんなことしたら君らも困るんだなも。」

・・・あれ?

「で・・・二人とも生きて帰りたかったら、暫く僕の言うこと聞くんだなも。」

・・・あれ? これもしかして俺たち脅迫されてないか?
 
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