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あつまれおおかみたちの森 ~南の島に流れ着いた俺が可愛いどうぶつたちとまったりスローライフを目指す話~

作者:和泉書房
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アイドルだよ!ルララ (9/26追加)

 
前書き
クリスチーヌと仲良くなったトレバーと俺、そんな折フランソワという少女もやってきた!クリスチーヌとフランソワは二人でアイドルをやっていて、そんな二人と俺たちが集まって、何が始まるのかな? 

 
「ぉおい、ジャップ。見ろよこのクソデザインの獣臭いビッチ野郎を!アジアのナー
ドどもはウサギとファックするにも、いちいちこんなカッコさせなきゃならねーのか?アアン?」

先ほど満面の笑みを振りまきながらこちらに駆け寄ってきた、クリスなんとかとかいうウサギ型の恐らく少女と思われるそれ・・・。そのファッションがトレバーのお気にエラく召さなかったようだ。今、その少女「だった」物が頭から血を流してトレバーの目の前に横たわっている。そして殺した犯人は案の定、泥で汚れた作業靴でガシガシと頭を踏んづけ始めた。潰される前は白い顔にピンクの頭巾みたいなものをかぶっていて、まぁお洒落ってことなんだろうが、それが今となっては土と血で赤茶色になっており、もはや原型が分からない。

「このプレイボーイのマスコットがぁぁぁ!」

「おい、トレバー。トレバー!」

無我夢中で頭を踏み続けるトレバーをいい加減止める。

「んぁ!何だぁ?邪魔すんなジャップ!あ!?もしかして、てめぇもこいつを殺る前に一発ぶち込みたかったクチか?」

「そんなんじゃない。片づけるのがめんどくさくなる。もうそのへんにしろ。」

「・・・・そうかぁ。共通の趣味について語りたかったが、それは残念だ。フン!!」



そういってトレバーは踏みつけるのをやめ、・・・代わりに頭を思い蹴り飛ばしだ。



「ブチィッ!!!」



胴体から離れたそれはコロコロ転がって川の中にドボンと落ちた。


支える頭を失った胴体のみが残された。

いやはやこれどうしたものか。

するとトレバーは、この息絶えたウサギが何か持ってないか、両足をもって上下に振りはじめた。まぁ確かに小銭でもあれば幸いだ。これだけ殺しておいて、今更窃盗もクソもない。とにかく小銭か食い物か、少しでも今朝から続く空腹を黙らせてくれればいい。

余談だが、この島にたどり着いてからおかしなところは多々あった。とりわけこれが最後まで不思議だった。連中の着てる服のポケット。そのポケットにはどんな大きなサイズの物でも、すんなり収まってしまうのだ。いやどちらかというと、どんな大きなものでもポケットに入れる寸前で小さくなる、という方が正確かも知れない。タイヤだろうが、タンスだろうが、しまおうとすると急に小さくなってポケットに収まる。その状態で持ち運べることもできるらしい。さらにしまった道具をポケットから取り出すや否や、また元の大きさに戻るという。なんとも物理的におかしい現象を目の当たりにした。そんなこともあり、このウサギの少女のポケットにも、大きかろうが、量が多かろうが、何が入っていても別段おかしくはないのだ・・・。


その期待が実現したのか、次の瞬間逆さになったウサギの体のポケットから、かなりの重さと、大きさを持ったものが一つゴロリとこぼれ落ちた。


それを見て、


「・・・斧かぁ。」


俺は見たまんまつぶやいた。


一体これでどうしろと。薪でも割って、売れと言うのか。
愕然としている俺をしり目にトレバーはその斧を取り上げて、しげしげとそれを凝視する。


「コングラチュレーション!ジャァップ。丁度いいところに、丁度いい物が来たじゃあないかぁ。」


・・・どういうこと?なんだそのテンション。


「んー先ほどのあのウサギは本当に残念だった。あれは本当に不幸としか言いようのない、実に残念な事故だった。悲劇だったぁ。」


トレバーは語り続ける。事故というか殺しなのだが。


「見たところ大した肉もついてない。そんな使用価値のない家畜に手を上げるのは本来俺の倫理にもとる。そうさ、ジャップ。俺はぁ本当に後悔している。」


何か知らんが、何かのスイッチが入ったトレバーはそんな知的な調子で語り続ける。仕事柄俺はこの手の頭の回転が一般人とは大部違う連中に、そこそこ会ってきたつもりだった。大体その手の奴は危ないことをする前は決まって、ポエムっぽいというか、演説っぽいというか、要は普段よりエライ格式ばった、カッコつけたことを言い出すことが多かったと思う。

「そう、この斧を手に木を倒し、薪を割り、それを糧として日々を生きようじゃあないかぁ。アダムとイブでもやってきたような基本的なことだ。そう、それは神が我々人間に与えられた単純にして、崇高な、最も神聖な営みの一つだ。今それを俺たちもやれということだ。いいだろう。このトレバー様もやってやろう。」

なんか変な調子になっているが、とりあえず周りには木がかなりあるため、言っていることは間違いないのかとも思う。
そんな見事な演説をトレバーがぶち上げていると、また一匹の動物が俺たちの目の前に現れた。



色違い。



ああ確かにそんな表現で十分だと思う。さっき息の根を止めたクリスなんとかといううさぎの色違いが一匹そこに現れたのだ。パーツ的にはほとんど変わらないが、そう、色が違う。さっきの奴がピンクだとするとこっちは水色。頭に水色の頭巾みたいなのをかぶっている。それがヘコヘコ走って俺たち二人のもとに走ってきた。とっさに俺はさっき殺したクリスなんとかの首から下を草むらの方に蹴っ飛ばして隠す。第二の客人はこちらに駆け寄ってきて、第一の客人と時と同様、ニコっとほほ笑んで挨拶を始めた。


「あらお客さんかしら?あなたたちクリスチーヌを見なかった?私たち、これからステージの練習をしなくてはいけないの。」

たぶんピンクのやつの同種か何かだと思うのだが、こちらはさっきより若干落ち着いている感じだ。ややタレ気味な目をやはりうるうるさせて俺たちの方を、特にトレバーを見つめる。

「ふーん、そのクリスチーヌって君みたいに可愛らしいうさぎの女の子のことかな?」

トレバーが答える。・・・あれ?普通に答えてる。

「そうよ!クリスチーヌは私と一緒にアイドルをやっているの。これから練習しなくちゃなんだけど、あの子どこ行ったのかしら?」

これは結構まずくないか?草むらに蹴っ飛ばしたそのクリスチーヌの胴体の方に俺はちらりと目をやった。生い茂った草のお蔭でギリギリばれない感じで隠れている・・・はずである。


「ふーんそうかい。その子ならなぁ・・・」

口を開いたトレバー。

頼むからなんとか上手いこと言ってくれ。俺は願った。あっちへ行ったとかで良いのだ。とにかくこの青い小娘を遠ざけて、でもって俺たちもこの場を離れて、とにかく逃げよう。いやもう俺だけでも逃げよう。そう思った矢先である。


「その子ならどこにいるか知ってるぜ。」

「ほんとう!教えてくれるかしら!ルララ!」

「ならクリスに直接聞いてみるか」


・・・何を言ってやがる?


すると、トレバーは自分の右足を持ち上げて作業靴を、左足の膝小僧の上に乗っけた。その作業靴に顔を近づけて語りかけるように話しを始めた。


「おいピンクうさぎ。今度はてめぇのコピー品みたいなのがうろついてんだけど、これも殺っちまって良いよな?オーケー?あー、お前が嫌だっつっても止められねぇからな!なんせ今じゃお前はブーツにこびりついた脳みそだけになっちまったもんな!ありがとよプレイボーイのマスコットヤリマンウサギ!」


そう言ってトレバーは自分のブーツの底にこびりついた、クリスチーヌの肉片を目の前の水色のウサギに見せつけた。うわぁ最悪だ。

ところが、一方の水色ウサギだが何故か笑顔でほほ笑んでいる。

「あら、あなた自分が履いている靴に名前を付けるのが趣味なのね。それもクリスチーヌだなんて、奇遇で素敵だわ。あなたのクリスチーヌも素敵だけど、私のクリスチーヌも素敵なのよ。リララ。」


・・・これはたぶん・・・通じていないのではないか。一方トレバーの方は数秒無言の後、目をカッと見開いて


「いいねぇ!その顔!最高だ!」


と妙なテンションで反応する。


「嬢ちゃん安心しろ、このトレバー様がちゃんとクリスチーヌのとこまで連れて行ってやる!」

あ?

「ほんと?ありがとう!これで二人そろってステージの練習ができるわ!来週広場で私とクリスチーヌが一緒に歌うのよ。あ、良かったらあなたも私たちのステーグヘァッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」

あ!

ウサギの少女からキラキラした期待の目を向けられたこの男は、すかさず足元にあった先ほどの斧を拾うと間髪入れずにそれを彼女の頭に叩き込んだ。薪を割る要領で斧が振り下ろされ、スイカの様に頭が叩き割られた。

さっきのピンクウサギが持っていた斧が、足元に転がっているのをすっかり忘れていた。水色のウサギが瞬間で赤いウサギになっていく。赤くした張本人が相変わらず絶叫する。

「アー!!!死ねゲイ向けのプレイボーイのマスコットがぁぁぁぁぁ!!カマホモウサギが気色悪いんだよ!」

・・・ピンク→通常のエロ、水色→同性愛者向けエロ。こういうことか?いやそういうことではないだろう。しかしまぁ、片づけるものが増えちまった。どうしたものか。




その時である。

周りの建物の陰から視線を感じた。

俺よりも先に気づいたトレバーが、持っていた斧を思い切りその壁にブン投げ、視線の主に吠える。

「ヘイヘイ!隠れてないでお話ししようかぁ!!!!!」

斧が突き刺さった壁の家の陰からまた一人、新手が姿を見せた。





「ふーん。この島で血が流れるところを見るのは久しぶりだなも。」



 
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